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プロ野球

「歴代最高のドクターK」千賀滉大が投手三冠へ! 史上21人目、3度目の“日米同時”達成なるか

SLUGGER編集部

2020.11.05

開幕の出遅れを微塵も感じさせず、千賀が4日の登板で投手三冠に浮上。球史に残る快挙達成なるか。写真:滝川敏行

開幕の出遅れを微塵も感じさせず、千賀が4日の登板で投手三冠に浮上。球史に残る快挙達成なるか。写真:滝川敏行

「勝つと同時に三振を取れる投手になってほしい」――。

 11月4日のロッテ対ソフトバンク戦。CS進出を目指す本拠地ロッテファンを意気消沈させる圧巻のピッチングを見せたのが、千賀滉大だった。8回を投げてわずか2安打に抑えて無失点、9奪三振の好投でチェン・ウェインとの投げ合いを制した。

 この試合前までに規定投球回まであと7イニング。7回以上を自責点0に抑えて勝ち投手となり、9三振以上を奪えば「最優秀防御率」「最多勝」「最多奪三振」のタイトルが見える登板だったが、そのすべてを完璧にクリア。防御率2.16は2年連続の防御率タイトルを狙う山本由伸(オリックス/2.20)を抜いてリーグ1位、149奪三振は山本と並ぶ最多タイ、11勝は涌井秀章(楽天)に並んだ。

 今春のキャンプでは右ふくらはぎと右上腕部に違和感を覚えて調整失敗。コロナ禍でシーズン開幕が延期となっても間に合わず、チームに合流したのは開幕3週間後。7登板目までは防御率4点台といまひとつだった。しかし以降の11登板でQS(6イニング以上を投げて自責点3以下)を記録できなかったのは1試合、直近5先発は自責点0と一気に調子を上げて、投手三冠に手をかけている。
 
 勝利・奪三振・防御率でリーグ1位を同時に成し遂げた選手はプロ野球で過去に20人、パ・リーグでは球団OBの斉藤和巳が2006年に達成して以来、一人も出ていない大記録だ。ちなみに、海の向こうメジャーリーグでは、シェーン・ビーバー(クリーブランド・インディアンス)が今年9年ぶりに投手三冠を達成した。“日米同時”で三冠王が出れば、1985年の小松辰雄&ドワイト・グッデン、1999年の上原浩治&ペドロ・マルティネス以来3度目の珍事でもある。

 実は、このビーバーと千賀には右投手以外にも共通点がある。「歴代屈指のドクターK」という点だ。ビーバーは今年、短縮シーズンとはいえ歴代1位の奪三振率14.20をマーク。そして千賀も昨年、プロ野球新記録となる奪三振率11.33を記録。4日のロッテ戦では、同じフォークを武器とし、斉藤の前にパ・リーグで投手三冠を達成した野茂英雄を上回るパ・リーグ最速(855.1回)で通算1000奪三振もクリアしている。

 工藤公康監督は4日の試合後、「野茂君を超えるといったら相当すごいと思う。そこのこだわりも捨てないで、勝つと同時に三振を取れる投手になってほしい」と、大エースへの道を歩む千賀に願いを込めた。そして千賀は、まさにそんな“究極の投手”へなろうとしているのかもしれない。

構成●SLUGGER編集部
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