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プロ野球

菅野対大野よりすごい? 2011年にダルビッシュと田中将大が演じた“究極の沢村賞争い”を振り返る

藤原彬

2020.11.10

現在はメジャーリーグで活躍する2人。11年はともにハイレベルな投球で沢村賞を争った。写真:田口有仁

現在はメジャーリーグで活躍する2人。11年はともにハイレベルな投球で沢村賞を争った。写真:田口有仁

 菅野智之(巨人)と大野雄大(中日)の沢村賞争いが注目を集めている。菅野は球団史に名を刻む開幕13連勝を飾ってリーグ連覇に貢献すれば、大野は現代野球では異例の6完封や45イニング無失点を記録と、互いに一歩も引かぬ活躍で高レベルの争いを演じてきた。

 今から9年前の2011年にも、パ・リーグで2人の投手が同じように別次元の投球で沢村賞を争った。主演は田中将大(当時楽天)とダルビッシュ有(当時日本ハム)だ。

 高卒1年目の07年に新人王を受賞した田中は、翌年から北京五輪やWBC代表にも名を連ねるなど球界を代表する投手となったが、タイトルとは縁がなかった。対して2歳上のダルビッシュは、沢村賞に輝いた07年から4年連続防御率1点台と圧巻の成績を収め、11年開幕時点ですでに5つのタイトルを獲得。難攻不落の絶対的なエースとして君臨していた。
 
 2人は11年シーズンを迎えるにあたり、さらなる飛躍を果たすための布石を打っていた。前年に故障もあって奪三振率がリーグ平均以下に落ち込んでいた田中は、新たに習得したスプリットに手応えを得た。一方、メジャー挑戦を見据えて肉体改造に着手していたダルビッシュは、体重を約10kgも増量。オープン戦で当時の自己最速タイ156キロを叩き出すなど、これまで以上に力強さを備えた姿が注目を集めていた。

 シーズンの滑り出しは対照的だった。4月12日の開幕戦で先発したダルビッシュは、西武打線に自己ワーストの7失点とまさかの大炎上。ライバル視していた涌井秀章に敗れ、開幕マウンドは3連敗となった。一方の田中は、開幕4試合目のオリックス戦に先発。東日本大震災の発生により、甲子園でのホーム開幕となった一戦で、自責点2の完投勝利を収めた。

 開幕戦で打ち込まれたダルビッシュだが、2登板目から8連勝。5月10日~6月15日にかけて球団記録の46.2回連続無失点を樹立するなど、相手打線を沈黙させ続けた。負けじと田中も、6月1日~7月7日まで6連勝。そうして迎えた前半戦締めくくりの7月20日、東京ドームで両雄の投げ合いが実現した。
 

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