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MLB

メッツのスター二塁手カノーが2度目の薬物違反で162試合の出場停止処分。過去に同様の処分を受けたのは…?

宇根夏樹

2020.11.25

カノーの禁止薬物使用が発覚するのは18年に続き2度目。それまで明るいキャラクターで人気を博していたが、すっかりダーティなイメージが定着してしまった。(C)Getty Images

カノーの禁止薬物使用が発覚するのは18年に続き2度目。それまで明るいキャラクターで人気を博していたが、すっかりダーティなイメージが定着してしまった。(C)Getty Images

 ロビンソン・カノー(メッツ)は、来シーズンの試合に出場することができなくなった。禁止薬物の検査で陽性反応が出て、162試合の出場停止を科されたためだ。カノーの薬物違反は、マリナーズ時代の2018年に続く2度目。前回はフロセミド、今回はスタノゾロールが検出された。出場停止の期間は、1度目の陽性反応が80試合、2度目が162試合、3度目は無期となる。

 薬物違反による162試合の出場停止処分を科されるのは、カノーが5人目だ。過去には、アレックス・ロドリゲス(14年)、ヘンリー・メヒーア(15年7月~16年7月)、マーロン・バード(16年6月~17年6月)、フランシス・マーテス(20年)が、この処分を科された。ロドリゲスはバイオジェネシス・スキャンダルにまつわる出場停止なので、検査の陽性反応ではないが、他はカノーと同じ“再犯”だ。

 処分を終えた後に再びメジャーに復帰することができたのは、今のところロドリゲスしかいない。15年の開幕戦でフィールドへ戻ったロドリゲスは、この年151試合に出場し、5年ぶり15度目の30本塁打以上(33本)を記録した。5月1日には、田澤純一から打った本塁打が当時歴代4位のウィリー・メイズに並ぶ通算660号となり、その6日後にその記録を追い抜いた。
 
 2人目のメヒーアは、162試合の出場停止が明ける前の16年2月に、3度目の陽性反応が出て無期出場停止となった。ただ、この処分は“永久追放”というわけではない。1年後に復帰を願い出ることができ、2年経った後にMLB機構が認めれば復帰可能というルールがある。18年の夏に処分を解除されたメヒーアは、オフにメッツから解雇された後、マイナー契約でレッドソックスに入団。19年はマイナーで投げた。今シーズンはメキシカン・リーグの球団に在籍(シーズンは開催されず)。まだ31歳なので、再びメジャーのマウンドに立つ可能性はゼロではない。3人目のバードはそのままキャリアを終え、4人目のマーテスは現在アストロズに在籍している。

 カノーは処分に関する声明を特に発表しないようだが、これからたどりそうなのは、ロドリゲスと同じ道だろう。すなわち、22年のメジャー復帰だ。現在のメッツとの契約は23年まで残っている。薬物違反に伴い、21年の年俸2400万ドルは支払われないが、22年と23年も年俸は同額。解雇するにしても、メッツには2年分の年俸、計4800万ドルの支払い義務は残る。また、すでに38歳とはいえ、カノーは今季49試合で打率.316、10本塁打を記録。どうせ同じ金額を払わなければならないのなら、少しでもチームに貢献してもらった方が、メッツにとっては得になるだろう。

 一時は「殿堂入り確実」と言われていたカノーだが、『ニューヨーク・ポスト』紙のジョエル・シャーマン記者は、「そのチャンスはほとんどゼロになった」と断じる。だが、あと376安打で通算3000安打に到達し、600二塁打にも、あと29本まで迫っている。22~23年の2シーズンともレギュラーとしてプレーすれば、どちらも無理な数字ではない。3度目の過ちを犯すことなく、カノーが再びプレーすることを願いたい。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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