▶今季の総括
開幕当初、コロナ禍の影響で同一カード6連戦が続いた中、開幕2カード目のロッテ6連戦でいきなり全敗。7月14日からのソフトバンク6連戦も1勝5敗と大敗し、序盤から大きくつまずいた。8月20日に西村徳文監督が辞任。中嶋聡二軍監督が監督代行となったが、最終的には45勝68敗7分で2年連続最下位に終わった。
だが、チームにあまり悲壮感はない。中嶋監督代行が就任した時点で、来季に向けて大きく舵を切ったからだ。就任直後の西武戦を3連勝を飾ったことで、ベンチの空気は一変。西村監督の時は8失点以上の試合が8試合もあったが、監督が交代してからは5試合と負け試合でも大敗が減り、中嶋監督代行がファームで実践してきた「勝つ野球」の下地は作れたのではないだろうか。
開幕投手を務めた山岡泰輔が序盤に離脱したのは痛かったが、山本由伸は奪三振王を獲得し、エースとしての地位を確立。主砲の吉田正尚も初のタイトルとなる首位打者に輝いた。また、3年目の田嶋大樹が初めて規定投球回に達したことも大きい。
もちろん、最下位に終わったからには課題も多く残っている。大物新外国人ジョーンズは不発で、「吉田正以外に打線の軸を作る」という数年来の課題は未解決のまま。センターのレギュラーもなかなか固定できず、得点数は2年連続リーグワーストに終わった。
それでも、中嶋監督代行が二軍で指導していた選手を、次々と一軍の舞台に立たせたことは来季への糧になることは間違いない。「いろんな戦力が出てきたことじゃないですかね。経験することでチームの能力が上がったと思いますし、それが収穫かなと。この悔しい思いも収穫にしたいと思います。来年、必ずみんなやってくれるはずです」。シーズン終了後、「代行」の肩書が取れた中嶋新監督は今シーズンの収穫と来季への期待をこのように語り、自信をにじませていた。
▶2021年のキーマン
中嶋聡監督
来季も引き続き指揮官の手腕がカギになるだろう。球団が“最強世代”として売り出す榊原翼や太田椋、宜保翔、紅林弘太郎ら次世代の主力は二軍監督時代の教え子。捕手出身ということもあってか、山崎福也や鈴木優ら投手陣に慕われている点も大きい。
「同じしんどい思いをするのでも明るくいきたい」とも語るなど、ベンチの雰囲気作りも余念がない。声出しで話題になった大下誠一郎はその象徴だ。大人しいと言われ続けてきたオリックスだが、選手が遠慮なくアピールすることでチームカラーが本格的に変わるはずだ。
取材・文●どら増田
【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。
開幕当初、コロナ禍の影響で同一カード6連戦が続いた中、開幕2カード目のロッテ6連戦でいきなり全敗。7月14日からのソフトバンク6連戦も1勝5敗と大敗し、序盤から大きくつまずいた。8月20日に西村徳文監督が辞任。中嶋聡二軍監督が監督代行となったが、最終的には45勝68敗7分で2年連続最下位に終わった。
だが、チームにあまり悲壮感はない。中嶋監督代行が就任した時点で、来季に向けて大きく舵を切ったからだ。就任直後の西武戦を3連勝を飾ったことで、ベンチの空気は一変。西村監督の時は8失点以上の試合が8試合もあったが、監督が交代してからは5試合と負け試合でも大敗が減り、中嶋監督代行がファームで実践してきた「勝つ野球」の下地は作れたのではないだろうか。
開幕投手を務めた山岡泰輔が序盤に離脱したのは痛かったが、山本由伸は奪三振王を獲得し、エースとしての地位を確立。主砲の吉田正尚も初のタイトルとなる首位打者に輝いた。また、3年目の田嶋大樹が初めて規定投球回に達したことも大きい。
もちろん、最下位に終わったからには課題も多く残っている。大物新外国人ジョーンズは不発で、「吉田正以外に打線の軸を作る」という数年来の課題は未解決のまま。センターのレギュラーもなかなか固定できず、得点数は2年連続リーグワーストに終わった。
それでも、中嶋監督代行が二軍で指導していた選手を、次々と一軍の舞台に立たせたことは来季への糧になることは間違いない。「いろんな戦力が出てきたことじゃないですかね。経験することでチームの能力が上がったと思いますし、それが収穫かなと。この悔しい思いも収穫にしたいと思います。来年、必ずみんなやってくれるはずです」。シーズン終了後、「代行」の肩書が取れた中嶋新監督は今シーズンの収穫と来季への期待をこのように語り、自信をにじませていた。
▶2021年のキーマン
中嶋聡監督
来季も引き続き指揮官の手腕がカギになるだろう。球団が“最強世代”として売り出す榊原翼や太田椋、宜保翔、紅林弘太郎ら次世代の主力は二軍監督時代の教え子。捕手出身ということもあってか、山崎福也や鈴木優ら投手陣に慕われている点も大きい。
「同じしんどい思いをするのでも明るくいきたい」とも語るなど、ベンチの雰囲気作りも余念がない。声出しで話題になった大下誠一郎はその象徴だ。大人しいと言われ続けてきたオリックスだが、選手が遠慮なくアピールすることでチームカラーが本格的に変わるはずだ。
取材・文●どら増田
【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。