プロ野球

【2020総括|巨人】投打の柱・菅野と岡本の活躍に加え「ディフェンス力」と「ブルペン」を武器にリーグ連覇を達成

ゴジキ

2020.12.04

吉川(写真)らの台頭によって盤石となった守備陣が、投手陣を盛り立ててリーグ連覇を果たした。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

▶今季の総括
 昨季限りで阿部慎之助が引退し、ゲレーロも退団。加えて打線の軸である坂本勇人が不振に陥るなど、やや打線が「火力不足」だったにもかかわらず、独走でリーグ2連覇を成し遂げられた要因は、「ディフェンス力」と「ブルペン陣」にある。

 守備では二塁の吉川尚輝の台頭が大きい。これまでずっとポテンシャルを評価されながらも、故障が多くいまひとつ殻を破れなかったが、今季は初のフルシーズン出場。抜群の身体能力を武器に何度もスーパープレーを見せ、守備力向上に大きく貢献した。また、吉川と二遊間コンビを組んだ坂本も、キャリア最小の失策数(4)と堅守を発揮。チームとしても12球団最小の43失策と手堅いディフェンスで投手を盛り立てた。

 ブルペンは開幕当初は枚数が不足していたものの、大竹寛が故障から復帰し、楽天から高梨雄平がトレード加入。さらに鍵谷陽平と大江竜聖も台頭したことで、シーズン折り返しの9月には盤石な体制が整った。特に高梨は火消しから抑えまでフル回転でブルペン陣を引っ張り、チームの勢いを加速させた。

 もちろん、昨年は腰痛の影響で精彩を欠いたエースの菅野智之は開幕13連勝と華々しく復活。4番の岡本和真は本塁打と打点の二冠を獲得するなど、投打の柱がMVP有力候補に挙げられる活躍を見せた点も2連覇の大きな要因だった。
 
 ただ、シーズン後半には、登板過多の影響でリリーフ陣が疲弊して失速。日本シリーズでも鍵谷がデスパイネに満塁ホームランを被弾するなどリリーフ陣がピリッとせず、守備の乱れも失点につながった。投手も含め、より安定感のあるディフェンス陣を築き上げることが、日本一奪還に向けた課題だと言えよう。

▶2021年のキーマン
戸郷翔征

 メジャー挑戦が有力視される菅野智之に代わるエースは彼しかいないだろう。今季は「スラット・スプリット型」の投球スタイルで、高卒2年目ながら9勝を挙げ、森下暢仁(広島)とハイレベルな新人王争いを繰り広げた。菅野も通算100勝を達成した際のヒーローインタビューで、「戸郷にもそういうところを目指して頑張ってほしいという思いでいます」とわざわざ名指しで語ったほど期待を寄せている。

 初のフルシーズンということもあって、終盤は調子を下げたが、日本シリーズではリリーフで3試合に登板。敢闘選手賞を受賞した。その際「来年は日本一を必ず取れるように頑張ります」と語った右腕が、新エースとして名乗りを上げることに期待したい。

文●ゴジキ

【著者プロフィール】
試合全体からワンプレーまで徹底分析を重ねたツイートで、2020年12月現在14,000人以上にフォローされる人気アカウント。光文社媒体『本がすき。』やREAL SPORTSなど、さまざまな媒体で、巨人軍や高校野球の内容を中心に記事を執筆している。さらに、2020年9月から光文社新書noteにて『ゴジキの巨人軍解体新書』を連載中。Twitter IDは、@godziki_55。