プロ野球

【2020総括|中日】大野雄を筆頭に投手陣の頑張りで8年ぶりのAクラス入り。一方で長打力不足は解決できず

SLUGGER編集部

2020.12.06

沢村賞に輝いた大野雄(写真)は残留を表明し、来季も投手力は万全。10年ぶりのリーグ優勝へのカギを握るのは打線だ。写真:産経新聞社

▶今季の総括
 与田剛監督の就任2年目は、2012年以来8年ぶりの勝ち越し&Aクラスと明確な成果を残した。

 原動力となったのはもちろんエースの大野雄大だ。シーズン序盤は精彩を欠き、初勝利は開幕から1ヵ月以上が経過した7月23日。だが、そこから球団タイの5試合連続完投勝ち、球団新の45イニング連続無失点を達成するなど快投に次ぐ快投を披露。開幕13連勝の菅野智之(巨人)を制して沢村賞を受賞した。

 ブルペンの奮闘ぶりも見事だった。祖父江大輔、福敬登、ライデル・マルティネスの"ダイフクマル"による勝利の方程式が確立され、6回終了時にリードした試合で37連勝と驚異的な安定感を発揮。締めくくりに苦労するチームが多かった中で大きなアドバンテージとなった。

 もっとも、手放しで喜べなかった部分も多くあった。平田良介、福田永将、アルモンテらが故障離脱した影響もあり、チーム本塁打数は12球団ワーストの70本。リーグ1位のDeNA、巨人(135本)とは実に倍近い差をつけられた。機動力もほとんど使えず、攻撃面の選択肢が極めて限られていたため、得点数は当然のようにリーグ最少と低迷した。
 
 そんな中、ベンチの起用が硬直化していたきらいも否めない。高卒新人の石川昂弥や2年目の根尾昂はともかく、ファームで好成績を残していた石垣雅海にもなかなか打席数が与えられず、得点力不足にもかかわらず先発メンバーがほぼ変わらない状態が続いた。このあたりは、常に競争を促していた巨人とは対照的だった。

 得失点差は-60でリーグ5位。Aクラスに入ったとはいえ、本当の意味での力がついているとは言い難い。今季の"躍進"に油断することなくレベルアップに励んでもらいたい。

▶2021年のキーマン
高橋周平

 高卒新人離れした打撃センスを垣間見せた石川昂弥のブレイクにも期待したいところだが、過大な期待を背負わせるようなこともしたくない。その意味では、来年1月で27歳とまさに脂が乗りきった時期を迎える高橋のさらなるレベルアップを求めたい。

 パワーアップを目指した今季は初の打率3割は達成したものの、本塁打は7本にとどまった。スアレス(阪神)の159キロのストレートをナゴヤドームの左翼スタンドに運ぶなど、生来のパワーは実証済み。年間20本塁打近くを打つ力は十分あるはずだ。

構成●SLUGGER編集部