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MLB

コロナ禍の影響は意外なところにも……異例のシーズンで新人王資格を失ってしまった選手たち

宇根夏樹

2021.01.13

アデルは昨季開幕前に新人王の有力候補とも言われた超プロスペクト。残念ながらメジャー1年目は結果を残せず、新人王資格も喪失してしまった。(C)Getty Images

アデルは昨季開幕前に新人王の有力候補とも言われた超プロスペクト。残念ながらメジャー1年目は結果を残せず、新人王資格も喪失してしまった。(C)Getty Images

 ジョー・アデル(エンジェルス)とライアン・マウントキャッスル(オリオールズ)は、どちらも昨年8月にメジャーデビューした。ともに打数は130を超えず、124打数と126打数だった。通常どおりであれば、彼らは新人資格を保持したまま2021年のシーズンを迎えるはずだった。それまでの通算打数が130以下あるいは50イニング以下で、開幕から8月31日までのアクティブ・ロースター在籍日数が45日以内の選手は、翌年も新人王の対象となる。ところが、この2人のうち、アデルは20年限りで新人資格を失ってしまった。

 例年なら、アクティブ・ロースター枠が40人に拡大する9月1日以降のロースター在籍日数は新人資格の算定にはカウントされない。だが、20年はロースター枠の拡大がなかったため、9月1日以降の在籍日数も加算されることになった。マウントキャッスのメジャー昇格は8月21日からなので45日には届かなかったが、一方のアデルは8月4日に昇格し、シーズンの最後までロースターに残ったので45日を超えてしまったのだ。

 アデルのような選手は、他にも何人かいる。例えば、フランシスコ・リンドーアの交換要員の一角として、メッツからインディアンスへ移籍したアンドレス・ジメネスもその一人。言うなれば彼らは、「新型コロナウイルスのパンデミックにより、新人王のチャンスを失った選手たち」だ。
 
 なお、21年の新人王候補には、すでにルーキーとは呼ぶのがはばかられるような存在感を発揮している選手もいる。ランディ・アロザレーナ(レイズ)は昨年のポストシーズンで10本塁打を放ってポストシーズン記録を塗り替えた。けれども、レギュラーシーズン通算打数はまだ84に過ぎず、新人王資格が残っている。

 アロザレーナは20年のレギュラーシーズンでも23試合で打率.281、7本塁打、OPS1.022と好成績を残している。今季も引き続き活躍すれば、ポストシーズンでMVPを獲得した翌年に新人王受賞という史上初の快挙を達成するかもしれない。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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