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MLB

メッツとリンドーアは超大型延長契約を交わせるのか。成立すれば10年332億円以上の規模に?

宇根夏樹

2021.01.21

リンドーアは17~19年に3年連続30本塁打以上をクリアしたMLBきっての強打の遊撃手。ゴールドグラブ2度の守備も光る。(C)Getty Images

リンドーアは17~19年に3年連続30本塁打以上をクリアしたMLBきっての強打の遊撃手。ゴールドグラブ2度の守備も光る。(C)Getty Images

  インディアンスは、FAまであと1年となったフランシスコ・リンドーアをメッツへ放出した。だが、メッツは、1シーズンだけのためにMLB最高の遊撃手を獲得したわけではない。来シーズン以降も、メッツでプレーしてほしいと考えている。今季の契約については年俸2230万ドルで両者とも合意したが、本番はここから。メッツにとって理想のシナリオは、リンドーアがFA市場に出る前に延長契約を交わすことだ。

 これには前例がある。昨年2月、ドジャースはレッドソックスからムーキー・ベッツを獲得した。そのままいけばベッツはシーズン終了後にFAとなるはずだったが、ドジャースは7月にベッツと12年3億6500万ドルの延長契約を締結した。また、カーディナルスも18年のオフにFAまであと1年のポール・ゴールドシュミットをダイヤモンドバックスから獲得し、その直後に5年1億3000万ドルの延長契約を交わした。

 DJ・ラメイヒューがヤンキースと再契約したように、FAとなれば必ず退団するというわけではないが、他球団にさらわれるリスクが生じる。また、競争原理が働くことで、必然的に契約の条件も吊り上がる。それに対して延長契約であれば、選手と交渉できるのは在籍球団に限られるので、横槍を入れられる心配はない。
 
 だが、メッツがリンドーアと延長契約を交わすまでに与えられた猶予は、長くても開幕までだ。リンドーアは移籍後のオンライン会見で、シーズン中に契約交渉はしないと語った(続いて、「交渉はスプリング・トレーニングまで」とも言っているので、これが事実ならさらに時間は少ない)。シーズン中はプレーに集中したいというのがその理由で、ベッツやゴールドシュミットも、延長契約がまとまったのは開幕前だった。

『MLBネットワーク』のジョン・ヘイマンによると、リンドーアは昨春、インディアンスから提示された総額2億ドル以上の延長契約を断ったという。リンドーアが望んでいるのは、18年オフにFAとなったマニー・マチャドがパドレスと交わした10年3億ドル(約332億円)以上の額と言われている。

 マチャドは現在三塁を守っているが、パドレスに入団するまではリンドーアと同じく遊撃を定位置としており、2人は年齢も近い。現在のリンドーアは27歳、マチャドは28歳だ。FAまであと1年となった時点での通算成績を比べると、リンドーアは777試合で打率.285、出塁率.346,138本塁打、99盗塁、OPS.833、マチャドは764試合で打率.279、出塁率.329、138本塁打、39盗塁、OPS.805と、ほぼすべての部門でリンドーアが勝っており、この辺りがマチャド以上の大型契約を希望する根拠となっているようだ。

 スモールマーケット球団だったインディアンスはそこまでの金額は出せなかったが、総資産145億ドル(1兆5000億円)ともいわれるスティーブ・コーエンが新オーナーに就任したメッツなら、リンドーアがマチャドを超える大型契約を手に入れる可能性は十分ありそうだ。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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