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プロ野球

“阪急身売り”に匹敵する衝撃――00年代の韓国球界をリードしたSKがまさかの売却

室井昌也

2021.01.30

SKは首都ソウルの西に位置する仁川広域市に本拠を置いている球団。07~08年には2年連続でアジアシリーズにも出場し、中日と西武をそれぞれ破っている。(C)Getty Images

SKは首都ソウルの西に位置する仁川広域市に本拠を置いている球団。07~08年には2年連続でアジアシリーズにも出場し、中日と西武をそれぞれ破っている。(C)Getty Images

 1月26日、韓国KBOリーグのSKワイバーンズを、流通大手の新世界(シンセゲ)グループが買収すると発表があった。SKは1999年限りで消滅したサンバンウル・レイダースに代わって、2000年に球界に参入。これまでに韓国シリーズへ8回進出し4度制覇している、00年代の韓国球界をリードしてきた存在だ。そのSKが球団を手放すということに、ファンも関係者も驚いている。

 11年にSKでコーチを務めた経験がある、元DeNAスカウトの小林晋哉氏も、SK球団売却の知らせに衝撃を受けた一人だ。小林氏はこのニュースを知った直後、筆者に電話をかけてきた。

「私は阪急がオリックスになったのを経験しているので、それを思い出しました。あの頃は『南海は大変やなぁ』と思っていたら、まさか阪急も身売りですから」
 
 小林氏は現役時代に阪急でプレー。87年限りで現役を引退し、翌88年からはスカウトに転身した。南海がダイエーへの球団売却を発表したのはその年の9月のことだった。低迷していた南海には以前から身売りの噂があったが、一方の阪急は上位争いの常連で、親会社も球団運営に力を入れていた。そのことから、直後の10月に阪急がオリックスへ身売りされた時は、球界に衝撃が走った。小林氏にとって、今回のSK売却はそれを思わせるほどの驚きだったということだ。

 SKの幹部や職員同士の会話には、常日頃からよく出てくる言葉があった。それは「名門球団」だ。日本では巨人が「球界の盟主」を謳うのを除き、その他の球団が自ら「名門」と口にするのは多少の照れがあるだろう。しかしSKの面々は新興球団ながら、真剣に「名門球団」を目指すほどの自負があった。
 

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