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プロ野球

新生・楽天の熱気を帯びたブルペン。”型にはまらない”石井新監督が求めるのは「対応力」〈SLUGGER〉

岩国誠

2021.02.02

石井監督の「常に競争意識は持っていて欲しい」という想いは、初日の熱気のある練習からも感じ取れた。写真:岩国誠

石井監督の「常に競争意識は持っていて欲しい」という想いは、初日の熱気のある練習からも感じ取れた。写真:岩国誠

 昨シーズンの4位から巻き返しへ。石井一久GMが新監督に就任し、8年ぶりの日本一を目指す楽天が、沖縄・金武町で始動した。

「今日から始まります。優勝を目指して、みんなで前へ前へ。1年間を通して、みんな同じ目標を持って戦っていきましょう」

 石井新監督のこの挨拶からスタートした楽天・金武町キャンプ。真新しい背番号99のユニフォーム姿に「違和感しかない」(浅村)「最初は光山さんに見えた」(涌井)と、反応は様々だ。

 気温22度。好天に恵まれ、各選手軽快な動きを見せる中、特に熱気を帯びたのがブルペンだった。

 ベテラン牧田がブルペン一番乗りしたのを皮切りに、岸、涌井のベテラン勢が傾斜での投球感覚を確かめると、若い投手たちも続々とブルペンへ。1軍スタートとなった投手23人中、21人が捕手のミット目掛けて投げ込んでいた。
 
「ある程度、投手コーチから伝えてもらっていますが、試合だけではなく、チーム内でのシート打撃だったり、そういう実戦形式の練習で投げられるようにしてきて欲しいと、若い投手には話してあるので、そこはしっかりやってきてくれたなと思います」(石井監督)

 今年は先発投手陣に、かつてのエースであり、現役バリバリのメジャーリーガー、田中将大が加わる。彼が合流するまでのわずかな時間が、若い投手たちにとってはアピールの場。「常に競争意識は持っていて欲しい」という新指揮官の思いが、形となって現れていたようにも感じられた。

 グラウンドでは全体練習後の野手陣が、強化メニューに取り組む中、浅村や鈴木の両ベテランも長時間のロングティーを敢行。納得いくまでバットを振り込んでいた。

「とにかく、やるからには優勝目指してやっていくことが最大のテーマ。そこへ向けてどういうことをしていくのか、課題だったり、ストロングポイントというところをしっかりとこのキャンプで見極めて、シーズンに入りたいと思います」

 目指すところは皆同じ。8年ぶりの日本一へ向け、新指揮官がチームに求めることは何なのか。

「シーズンを通して、型にはまらない試合も多い中、その場の対応力が必要になってくる。その時々に応じたプレーを感じて、チョイスできるようになって欲しいと思います」

 現役時代から独特な空気感を持っていた石井新監督が引退したのは2013年。奇しくも、楽天が日本一に輝いた年だった。その時の引退式では、なんとセグウェイに乗って場内を一周。"型にはまらない"ファンサービスは大きなインパクトを与えた。

 あれから8年。楽天の指揮を任された男が、このキャンプで選手たちを”型にはまらない”集団へと導き、球界にどんなインパクトをもたらすのか、その手腕に注目だ。

文●岩国誠

【動画】8年ぶり日本一への切り札!古巣に帰ってきた田中将大の2020ハイライト

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