日本シリーズ進出をかけたパ・リーグのクライマックスシリーズ（CS)ファイナルステージが開幕する。リーグ制覇の西武は待たされた状態で決戦を迎えるが、心に隙はないだろう。

　昨年はペナントレースを一度も首位から譲ることなく制したにも関わらず、CSでソフトバンクに惨敗。シーズン終了の挨拶で辻発彦監督が流した涙と当時のキャプテンだった浅村栄斗による「力の差を感じる」という言葉は完全敗北を意味するものだった。

　あれから１年、同じ舞台でソフトバンクを迎え撃つのだから、心に隙など生まれるはずはない。
  　そんな両者の対戦でキーポイントになるのは、西武は初戦の先発に指名されたザック・ニール、ソフトバンクが高橋礼と見る。

　まず、ニールがキーポイントになる理由は、昨年の失敗を繰り返したくないという意味からだ。

　昨季、西武は初戦の先発にエースの菊池雄星（現マリナーズ）を立てて、必勝を期したが、完膚なきまでにやられた。

　体調面の問題がなかったわけではないが、初戦でエースが完璧に打ちのめされた意味は大きかった。エースが打たれ、そのあとの救援陣も続々と打たれた。「打たなければ勝てない」。その空気が流れ、後手を踏んだのだ。

　２戦目はなんとか打線の爆発で１勝を挙げたものの、先発の多和田真三郎は６回５失点。11得点をあげたから勝てたものの、不安が拭えたわけではなかったのだ。３戦目は15失点。５回までに12失点を喫する大敗だった。

　どれほど打力があっても序盤に戦意を喪失した状態になってしまうと、さすがの打線も対抗できない。結局、その後の試合も序盤に先行される展開を招いてしまい、強力打線は機能不全に陥ったのだった。

　その結果が両者の実力差を示したわけではなかったが、初戦を落としたことに加えて、エースが粉砕されたことに大きな問題があった。

　だから、今年、シーズン最後を11連勝でフィニッシュしたニールがどれほどのピッチングを見せるかが極めて重要なのだ。

　ソフトバンク打線に昨季ほどの勢いがないと言われつつも、このほどのCSファーストステージでは、柳田悠岐とデスパイネが復調の兆しを見せ、グラシアルが好調をキープし、内川聖一も勝負強い打撃を見せている。

　ニールはゲームに勝つことを前提として、チームにプラス要素をもたらす必要がある。