MLB

ダルビッシュが史上最速で通算1500奪三振を達成?シャーザーは史上19人目の大台へ――MLB今季達成されそうな記録・投手編

宇根夏樹

2021.03.03

通算1500奪三振を目前にするダルビッシュ(左)。日本人では野茂英雄に次ぎ2人目だ。シャーザー(右)が通算3000奪三振を達成すれば、現役では2人目の記録となる。(C)Getty Images

 2019年シーズンが終了した時点で、ダルビッシュ有(パドレス)は通算1299三振を奪っていた。20年中の1500奪三振達成は確実と思われたが、シーズン短縮により、記録達成は今シーズンに持ち越された。20年は93奪三振だったので、到達までは残り108奪三振。順調にいけば、オールスター前にたどり着くはずだ。

 そして、ダルビッシュはおそらく、「史上最速で1500三振を奪った投手」になる。現在の最速記録は、19年にスティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)が到達した際の1272.1イニングだ。現在通算1127.0イニングのダルビッシュは、開幕から145.0イニングで108奪三振、奪三振率6.70でもこの記録を塗り替えることになる。12年のメジャーデビュー以来、ダルビッシュのシーズン奪三振率は10.00を下回ったことがなく、記録達成は確実だ。

 なお、ダルビッシュより1500奪三振に近い現役投手は4人いるが、ランス・リン(ホワイトソックス)、コリー・クルーバー(ヤンキース)、ジェフ・サマージャ(FA)の3人はすでに1300イニングを超えている。残るゲリット・コール(ヤンキース)も、1268.0イニングで1430奪三振。1500奪三振に到達した時点のイニングは、間違いなくストラスバーグよりも多くなる。
 
 さらに、現役投手の奪三振ランキングでダルビッシュのすぐ下にいるジェイコブ・デグロム(メッツ)は、1169.2イニングで1359奪三振なので、ストラスバーグを追い越すには102.1イニングで149奪三振、奪三振率13.10以上が条件となる。ダルビッシュが打ち立てるであろう記録を更新するには、さらに高い奪三振率が必要だ。昨シーズンのデグロムは奪三振率13.76だったが、これは68.0イニングの数値。19年までの奪三振率はどのシーズンも11.30以下だ。

 また、カブスでダルビッシュとチームメイトだったジョン・レスター(ナショナルズ)は、通算200勝まで7勝としている。短縮シーズンの昨季こそ3勝だったが、13~19年は7年連続2ケタ勝利を達成しているレスターなら、十分達成可能だろう。ロイヤルズとマイナー契約を交わしているアービン・サンタナは、あと1勝で通算150勝だ。ただ、18~19年は計8先発で0勝3敗と足踏みし、昨シーズンは登板なしと、あと1勝が意外に遠い。

 この他、ザック・グレインキー(アストロズ)は61.0イニングで通算3000イニングの大台に到達する。これまでに18人しか達成していない通算3000奪三振にもあと311と迫っているが、こちらの達成は来シーズン以降だろうか。むしろ3000奪三振については、あと216奪三振に迫るマックス・シャーザー(ナショナルズ)の達成を期待したい。シャーザーは19年まで8年続けて230三振以上を奪い、この間に奪三振率が10を下回ったことはない。また、昨シーズンも奪三振率12.30とそのペースは落ちておらず、シャーザーが今季中に史上19人目となることはほぼ確実だ。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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