昨シーズンにサイ・ヤング賞の最終候補にノミネートされたツインズの前田健太は、今年もその有力候補のひとりと言えるだろう。自身初のMLB開幕投手に指名されたことも、この右腕の好調ぶりをうかがわせる。

　しかし、スポーツベッティング専門サイト『ACTION』は、前田のサイ・ヤング賞獲得に厳しい見方を示した。データに基づいて推定した結果、サイヤング賞獲得の確率はわずかに「５％」だというのだ。

　同サイトには今年のサイヤング賞を占う記事の中で、近年の選考の傾向について「客観的なデータを踏まえたものが多い」と分析。そのうえでWAR（守備や投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標）、防御率、WHIP（投球回あたりの与四球・被安打数合計）、勝利数の順番に重要度が定まっているとし、これらにFIPと投球回数、奪三振数を加えて、今シーズンの同賞が選定されるとした。

　昨シーズンも同様の基準でデータを算出し、サイ・ヤング賞を的中させたという『ACTION』。それだけに、信憑性はまずまず高いといえるだろう。

　ちなみに同メディアは前田の2021年の成績を、以下のように予想している。

WAR＝2.6
防御率＝4.05
WHIP＝1.21
勝利数＝11.7
FIP＝4.00
投球回数＝163
奪三振数＝174

【動画】マエケンが圧巻の８者連続奪三振！ 期待高まる快投シーンはこちら 　同様にゲリット・コール（ヤンキース）や昨シーズンのアメリカン・リーグのサイ・ヤング賞右腕シェーン・ビーバー（インディアンス）らについても予測しており、彼らの成績には前田よりも良い数字が並んでいる。それが「５％」という根拠になったようだ。

　一方で、前田のポジティブな要素も２つ指摘している。

　１つ目は、変化球の有効活用だ。同メディアはスライダーとチェンジアップを軸に組み立てる昨年の投球が、「三振を増加させ、与四球を減らし、強打を受けにくくなった」と解説し、「マエダは新たな決め球を配球に組み込もうと積極的に模索している」と今シーズンの飛躍にも期待を示した。

　２つ目に挙げられたのは、前田をサポートする守備陣の堅さだ。昨オフにゴールデングラブ賞を４度も受賞したショートの名手アンドレルトン・シモンズを獲得したツインズは、バイロン・バクストンをセンターラインに揃え、「リーグでも有数の守備陣を有している」と評価。そのうえで、「マエダは背後に飛んだボール全てを任せても問題ない。彼らは全部を掃除してくれるだろう」と結んだ。

　昨年の防御率2.70や、メジャー１位をマークしたWHIP0.75といった数字を考えれば、サイ・ヤング賞受賞確立「５％」という予想を良い意味で裏切る可能性は十二分にある。開幕投手も務める日本人右腕の成績に、今後も要注目だ。

構成●THE DIGEST編集部