プロ野球

【松田宣浩インタビュー:前編】「お客さんの歓声で打球の飛距離が10、15メートル違う」絶対王者ソフトバンクを支える男の思い〈SLUGGER〉

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2021.03.29

熱いプレーとパフォーマンスでファンを魅了する松田。ベテランになっても、その情熱は衰えを知らない。写真提供:アスリート・マーケティング

 プロ野球選手とファンは本来、相互関係にある。ファンの声援が選手の力となり、選手の熱いプレーによってファンは明日を生きる糧をもらう。そのことを最もよく理解してい役選手が、福岡ソフトバンクの松田宣浩だろう。日本一4連覇を達成した絶対王者のチームリーダーはベテランとなった今も、誰よりも大きな声を出して味方を鼓舞し、ファンを盛り上げる。その背景にはどんな思いがあるのか。THE DIGESTの独占インタビューに応じてくれた。

――松田選手と言えば大きな声出しが有名ですが、昨年、無観客だった頃の試合ではひときわ大きく球場に響いていました。

 普段は超満員の球場で、応援がある中で野球をするというのが普通だったので、無観客だったり、お客さんが入ってくれても応援は拍手だけ、というのは正直異様でしたが、そんな中でも普段通りの声出しをしているだけで、クローズアップしてもらえたのは良かったですね。

――「熱男」パフォーマンスを含め、ファンを楽しませる意識が強い松田選手にとって、無観客試合はどう感じていましたか? 

 やっぱり寂しかったですよ。いつも言うんですが、お客さんの歓声のパワーっていうのは、あるとないとでは打球の飛距離が10メートルや15メートルくらい違ってきます。
 
――有観客試合最初の試合でシーズン第1号本塁打。5000人限定とはいえ、ファンの歓声を浴びた感想はどうでしたか? 

「僕らしいな」と思いました。その前に打っとけよと思いますけど(笑)。

――ベンチに戻ってきて、「やっぱり俺はプロ野球選手だ!」と叫んだと聞きましたが……? 

 それは本当です。ベンチに帰った第一声で、「やっぱり俺はプロ野球選手だ」と叫んだことを覚えています。

――三塁手としてゴールデン・グラブ賞を史上最多8回受賞していますが、三塁守備で最も大切なことは何でしょうか?

 え、熱い"熱男魂"でしょ(笑)。

――著書では「監督やコーチの言っていることを信じて、どんどん新しい考え方を吸収する」と書かれていましたが、これまでどんなアドバイスが役に立ちましたか?

 一番役に立ったのは、ノックの数を多くこなしたことです。まずはたくさんボールを捕って、自分にとっての動きやすさを考えろと言われて、とにかくどのコーチもたくさんノックしてくれました。それが僕は一番大事だったと思いますし、感謝しています。
 
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