高校野球

【センバツ8日目の投打MVP】“大会No.1投手”・畔柳亨丞が2試合連続でMVP。敗れはしたが京都国際・中川勇斗の強肩も光った

西尾典文

2021.03.27

プロ注目の右腕・畔柳(右)はこの日も圧巻の球威を披露。京都国際・中川(左)は打撃で肩で見せ場を作った。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 2年ぶりの開催となった選抜高校野球。プロのスカウトも注目する選手が多い中、とりわけ見事な活躍を披露した投手、野手を「その日のMVP」として選出していこう。

 ベスト8が出揃った大会8日目は、以下の選手をセレクトした。

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■投手MVP
畔柳亨丞(中京大中京3年):7回、被安打7、1失点(自責点1)、7奪三振、5四死球

 1回戦に続いて畔柳を選出。中1日での登板ということもあって初回はボールのばらつきが大きかったが、2回途中から一気にギアを上げて140キロ台後半を連発。今大会、ここまでで最速となる149キロをマークして球場を沸かせた。

 少し力を抜いて投げる140キロ前後のボールでも、打者の手元での勢いが他の投手とは明らかに違う印象を受ける。結果的に2つの死球を与えることにもなったが、腕を振って速いボールを左打者だけでなく右打者の内角にも投げ込めるのは大きな長所だ。ストレートの凄みは大会ナンバーワンの迫力で、リリーフで短いイニングを全力で投げた時に、どこまでスピードアップするか見てみたい投手である。
 
■野手MVP
中川勇斗(京都国際3年・捕手):4打席4打数2安打3打点

 今大会は捕手の好素材が目立つが、中川はその中で屈指の存在と言える活躍を見せた。2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球は楽に1.90秒前後をマークし、4回の盗塁阻止は実戦ながら1.86秒を叩き出した。少しボールを握り替える動きがせわしなく、上半身の力に頼って投げるところは今後の修正点だろうが、地肩の強さは申し分ない。またミットをしっかり止めるキャッチングも安定感がある。

 打撃も送球と同様に少し力みは目立つものの、リストの強さは抜群で、外寄りのボールを絡めとるようにして引っ張り、5回には一時逆転となる走者一掃のタイムリーツーベースを放った。攻守ともに体の強さを感じる捕手であり、プレーの堅実さが加わってくれば、将来的に楽しみな存在である。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
 
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