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【現地発】LA地元記者は大谷翔平の今シーズンをどう見ている?健康状態を保てればMVPも…

JP・フーンストラ

2021.04.01

二刀流・大谷の今シーズンを、よく知るLA記者が大展望。(C)Getty Images

 大谷翔平が二刀流選手としてシーズンを完走しない限り、周囲の目は懐疑的にならざるを得ない。

 大谷が日本プロ野球でキャリア5年目を迎えていた2017年の夏、ハンター・グリーンとブレンダイ・マッケイという2人の二刀流選手がMLBドラフトで上位指名された(グリーンは全体2位でシンシナティ・レッズ、マッケイは全体4位でタンパベイ・レイズ)。だが、当時から専門家は、大谷も含めて3人とも二刀流選手としてMLBでプレーし続けるのは難しいと考えていた。

「二刀流選手が成立するには、このリーグはあまりにもレベルが高い」。当時、ドジャースのクローザー、ケンリー・ジャンセンは私に言った。「どちらか一つなら何とかなるかもしれないけど、どちらも高いレベルで準備を整えるのは無理だ。あまりにも時間が足りないよ」。

「はっきり言って、どんなに優れた選手でも関係ない。(二刀流でプレーするには)理解しておかなければならないゲームプランが多すぎるんだ」。同じくドジャースのクリス・ハッチャーは語った。「野手も投手も、相手チームの全員を知っておかなければいけない。それだけの情報を処理できる人間がいるのか疑問だね」。
 
 実は、ジャンセンとハッチャーには共通点があった。2人ともプロ入り当初は捕手だったが、野手としては成功できず、投手に転向したという点だ。バッティングとピッチング、それぞれの難しさをよく理解している彼らには、2つを同時にやってのけることなど想像できなかった。

 想像。それが二刀流の可否を判断する唯一の方法だった。大谷のメジャー最初の2か月を除けば。

 そして今、大谷の二刀流について、あらゆる可能性がより"リアル"に捉えられるようになった。2021年3月21日、サンディエゴ・パドレスとのオープン戦で、大谷はエンジェルスの「先発投手兼1番打者」として出場し、打者としては3打席すべて出塁、マウンドでは最速102マイルを計時した。それだけではない。彼は他の選手たちの視野を広げたのだ。

「あいつは化け物だ」。パドレスの先発投手ブレイク・スネルは言った。「100マイルの球を投げて、反対方向に打つのも上手い。投打どちらでもオールラウンドのすごい選手だけど、両立するのはめちゃくちゃ難しい。とても見事だ。怪我をしないで、フルに才能を発揮してほしいね」
 
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“野球の神様”の再現はすべて健康状態にかかっている