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野茂英雄が達成した超高難易度ノーヒッター、史上唯一の“2度達成”を成し遂げたレジェンド――MLBの「球団初ノーヒッター」にまつわる3つのトリビア

筒居一孝(SLUGGER編集部)

2021.04.11

野茂(右)もジョンソン(左)も「初のノーヒッター」に縁があり、かつ史上5人しかいない両リーグでノーヒッターを達成した投手でもある。(C)Getty Images

野茂(右)もジョンソン(左)も「初のノーヒッター」に縁があり、かつ史上5人しかいない両リーグでノーヒッターを達成した投手でもある。(C)Getty Images

 現地時間4月9日、パドレスのジョー・マスグローブがレンジャーズ戦で球団初のノーヒッターを達成した。これで、30球団すべてでノーヒッターが達成されたことになる。この機会に、今回は「球団初のノーヒッター」に関するトリビアを紹介しよう。

▼パドレスに並ぶ「縁がなかったチーム」
 パドレスは1969年創設。マスグローブの快挙は53年目の悲願達成となったわけだが、50年以上もノーヒッターに見放されたのは他にもう1チームある。62年創設のメッツだ。歴代最多の7度達成したノーラン・ライアンがキャリアを始めたチームであるが、開花したのは72年にエンジェルスに移ってから。他にも、60~70年代にはトム・シーバー、80年代にはドワイト・グッデンといった好投手を輩出したが、2人ともメッツでは一度も達成できなかった(シーバーはレッズ時代の78年、グッデンはヤンキース時代の96年に達成)。

 初の快挙は創設から51年目、2012年6月2日にヨハン・サンタナがカーディナルス戦で達成するのを待たねばならない。なお、後にも先にもメッツでノーヒッターはこの1度だけ。93年に創設された同地区のマーリンズからは、すでに6人も達成者が出ているのに……。
 
▼超打者有利の球場で快挙を成し遂げた野茂
 マーリンズと同じ93年に創設されたロッキーズは、ヒットも本塁打も極めて出やすいメジャー屈指の超打者有利球場、クアーズ・フィールドを本拠としているが、それでもたった1人だけ達成者がいる。10年4月17日のブレーブス戦で、ウバルド・ヒメネスが成し遂げたのが最初で最後。ただ、ヒメネスが達成した試合は、当時ブレーブスの本拠地だったターナー・フィールドで行なわれたものだ。

 球史でただ一人、クアーズ・フィールドでノーヒッターを達成したのはロッキーズの選手ではない。誰あろう、日本人メジャーリーガーのパイオニア、野茂英雄(当時ドジャース)だ。96年9月17日、3割打者を5人も擁するロッキーズ打線を110球で料理しての快挙だった。なお、野茂はレッドソックス時代の01年4月4日、オリオール・パーク・アット・カムデンヤーズで行なわれたオリオールズ戦で2度目のノーヒッターを達成しているが、こちらも現時点では同球場唯一の記録である。

▼“球団初”を2回も達成した大投手とは?
 現存する最も新しい球団は、98年創設のダイヤモンドバックスとレイズ。レイズの場合は10年以上もかかったが(10年にマット・ガーザが初めて達成)、ダイヤモンドバックスの方は6年目。04年5月18日に、ランディ・ジョンソンがブレーブス打線から13三振を奪う完全試合で球団初の快挙を飾った。

 これはジョンソンにとって2度目のノーヒッターであり、2度目の“球団初”でもあった。マリナーズにいた90年6月2日、タイガースを相手に達成した自身初のノーヒットノーランも、マリナーズ初の快挙。「球団初のノーヒッター」を2度も成し遂げたのは、これまでにジョンソン一人しかいない。

文●筒居一孝(SLUGGER編集部)

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