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MLB

【担当記者が見た大谷翔平】昨年とは違う「切り替え力」を首脳陣が称賛!大谷自身は「去年とは全然違う」と野球の楽しさを実感<SLUGGER>

斎藤庸裕

2021.04.25

7四死球を大荒れだったが、それでも4回無失点。去年はなかった「修正力」が発揮された前回登板だった。(C)GETTY IMAGES

7四死球を大荒れだったが、それでも4回無失点。去年はなかった「修正力」が発揮された前回登板だった。(C)GETTY IMAGES

 大谷翔平(エンジェルス)には余裕があった。現地4月20日のレンジャーズ戦、今季2度目の登板で4回1安打無失点も、7四死球と荒れた。試合後、制球については自己採点で「0点ですね」と最低点を与えながら、笑っていた。右手中指のマメの再発を防ぐため、速球は抑え気味。それでも、無失点投球を続けた。

 球が荒れ、同じような状況に陥った昨年とは違った。7月26日のアスレティックス戦。無死満塁から押し出し死球で先制点を与えた。8月2日のアストロズ戦。2死満塁から2者連続の押し出し四球で降板し、天を仰いだ。だが、20日のレンジャーズ戦では落ち着いていた。1回1死から3連続四球で満塁とピンチを招いたが、伝家の宝刀スプリッターで2者連続三振。冷静に、表情を変えずに、ベンチに戻った。

 ジョー・マッドン監督は今春キャンプから何度も「去年とは別人」と言っていた。確かに、去年はマウンド上でも打席でも悪い流れを引きずる傾向があった。投げ心地が悪く、腕が振れない。万全の状態ではなかった上に無観客で、体調、技術、精神面で苦しんだ。だが、今季は悪くても修正できる力がある。23日のアストロズ戦前、ペリー・ミナシアンGMが大谷をこう評した。
 
「切り替えることができる能力も、私は評価している。たとえ1打席が悪かったとしても、それが3打席は続かない。ある1球が悪くても、5、6、7、8球、2イニング連続と続かない。切り替えることができるし、日々、競争心を見せている」

 20日のレンジャーズ戦で7四死球ながら無失点に抑えた結果が、その証拠でもあるだろう。マウンド上だけでなく、打撃でも同GMの言葉通りとなっている。22日のアストロズ戦、5打数無安打で今季初の5タコとなった翌日、先制タイムリーを含む2安打を放った。

 大谷自身、技術面や過去の故障箇所の状態などで改善や違いを口にするが、「去年とは全然違う」と話すことがある。それは何より、観客の応援があるということ。「やっぱり楽しいですね、いっぱい入ってくれて。その中でやってる方が野球やってるな、公式戦やってるなっていう、そういう雰囲気があって楽しい」。

 昨年はシーズンを通じて無観客だっただけに、ファンの声援のありがたみをより一層、感じていることだろう。楽しんで野球ができれば、大谷本来の能力も発揮される。その次元に、間違いなく入りつつある。

文●斎藤庸裕

【著者プロフィール】
さいとう・のぶひろ。1983年、埼玉県生まれ。日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を務めた後サンディエゴ州立大学でスポーツビジネスを学ぶ。2018年から大谷翔平の担当記者を務める。日刊スポーツでコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」を配信中。

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