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MLB

「渡米後、最高の投球だった」菊池雄星、7回途中ノーヒットで今季初勝利。地元紙記者は“天敵”相手の好投に称賛

THE DIGEST編集部

2021.04.30

アストロズ相手に7回途中までノーヒッターの快投を披露。菊池の投球に地元記者も感服しきりだった。(C)Getty Images

アストロズ相手に7回途中までノーヒッターの快投を披露。菊池の投球に地元記者も感服しきりだった。(C)Getty Images

 まさに見事と呼ぶしかない、圧巻のピッチングだった。

 シアトル・マリナーズの菊池雄星は現地時間4月29日、敵地で行なわれたヒューストン・アストロズ戦に先発。7回95球を投げて1安打無失点、2四球7奪三振の好投で今季初勝利を手にした。

 菊池はこの日までに4先発していたが、勝ち星はなく防御率5.70と苦戦。中盤戦までは相手を抑えていても被弾などで崩れることが多く、4月16日のアストロズ戦も4回までノーヒットピッチングだったが、5回に初ヒットを許すと一気に3点を失うなど、「もったいない」と思わせるような試合が続いていた。

 その中で迎えた29日の試合、菊池は”いつも通り”序盤をゼロに抑えると、味方が先制した後も、虎の子の1点をしっかり守り切り、気づけば5回まで無安打投球。さらに6回は圧巻の3者連続奪三振と、勢いが増した。

 しかし7回、1死からカルロス・コレアに二塁打を許して快挙は終了。実は16日の同カードも、コレアに初安打を打たれてから崩れており、この日も“悪夢”がちらついたはず。それでも、菊池は後続のユリ・グリエルが叩きつけた内野安打性の打球を、見事な身のこなしで処理してしっかりアウト。きっちり7回を抑え切り、チームも1対0で逃げ切って今季初勝利を手にしたのだった。
 
 そしてこの日の菊池について、マリナーズ番記者歴15年以上を誇る『The Seattle Times』のライアン・ディビッシュ氏は「渡米した2019年以降、キクチのこの日のピッチングが最も良かったかもしれない」と大絶賛した。

 もっとも、菊池はメジャー1年目の8月18日、敵地でのトロント・ブルージェイズ戦で9回2安打完封勝利という、少なくとも”記録上”はこの日よりもいい成績を残している。それでもディビッシュ氏が「ベストな投球」と評したのは、対戦相手が関係しているようである。

 マリナーズは敵地アストロズとの4連戦、3連敗で最終戦を迎えていた。菊池の好投がなければスウィープ負けの危機にあった。さらに言えば、マリナーズはここ3年間、敵地アストロズ戦で嘘のように負けまくっており、この日まで20試合して驚きの1勝19敗(!)と"天敵"だった。だからこそ、地元名物記者も菊池の投球に感嘆せざるを得なかったというわけだ。

 開幕前の下馬評に反して、マリナーズは14勝12敗で地区2位と快調な滑り出しを見せている。イチローが渡米した2001年以来、プレーオフから遠ざかり、19年連続逸は四大スポーツで現在ワースト記録更新中の”負け犬軍団”。菊池はこの日のような快投を続けて記録に終止符を打てるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部
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