プロ野球

“最強新人クローザー”・栗林良吏。大学で指名漏れの屈辱も、社会人で得た収穫とは?

西尾典文

2021.05.04

1年目から圧倒的な投球で活躍を続ける栗林。大卒時は指名漏れするなど挫折も味わってきたが、社会人で"技"を身につけた。写真:朝日新聞社

 例年以上にルーキーの活躍が目立つ今年のプロ野球。野手では佐藤輝明(阪神)、牧秀悟(DeNA)が特にスポットライトを浴びているが、投手で存在感を示しているのが栗林良吏(広島)だ。

 開幕から抑えを任せられると、4月終了時点で12試合に登板してリーグトップタイとなる8セーブをマーク。失点0、奪三振率13.50、WHIP0.50というあらゆる指標で圧倒的な数字を残し、5月4日の巨人戦も1回無失点に抑えてデビューから14試合連続無失点として、甲斐野央(ソフトバンク)が2019年にマークしたドラフト制後の新人最長記録を更新した。

 そんな栗林のプレーを初めて見たのは2016年3月16日に行なわれた東海地区社会人・愛知大学野球交流戦だった。名城大で1年時から主戦となっていた栗林は、トヨタ自動車との試合に先発で登板。社会人でも全国屈指の強豪相手に負け投手にこそなったものの、5回を投げて被安打3、1失点と好投を見せた。
 
 春先ということもあって最速は140キロにとどまり、6四球を与えるなど制球にも苦しんだが、きれいに高い位置から腕が振り下ろすことができており、ボールの角度は当時から際立っていた。ちなみにこの試合でトヨタ自動車の2番で出場していた源田壮亮(現・西武)との対戦は送りバント、ピッチャーゴロ、センター前ヒットという結果となっている。順調にいけば大学4年時にはドラフト候補になるだろうという印象を受けた。

 この年の秋には明治神宮大会にも出場。上武大を相手に敗れたものの、9回を2失点完投と初の全国大会で見事な投球を見せていた。翌年の明治神宮大会では九州共立大の片山勢三(パナソニック)に2本のホームランを浴びるなど8回を投げて7失点という結果に終わっているが、ストレートの最速は149キロをマークし、打たれても、良さの方が目立っていた。