MLB

“不文律破り弾”に苦言を呈した名将ラルーサは「時代遅れ」?怪腕バウアーも皮肉「もっとマシな仕事をしろ」

THE DIGEST編集部

2021.05.21

自軍の選手が不文律破ったことに怒りを露わにしたラルーサに批判が殺到している。(C)Getty Images

 大量ビハインドでマウンドに立った野手の投球を捉えて本塁打にした打者の"不文律破り"が波紋を広げている。

 物議を醸しているのは、現地時間5月17日に開催されたミネソタ・ツインズ戦で、シカゴ・ホワイトソックスのヤーミン・メルセデスが放った一発だ。28歳のドミニカンは、チームが11点をリードした9回表2死で、内野手登録ながらマウンドに立っていたツインズのウィリアンズ・アストゥディーヨが3ボールから投じた47マイル(約76キロ)のボールをジャストミート。打球はあっという間にバックスクリーン横に吸い込まれていった。

 しかし、これが「大量得点差が付いた試合の終盤で3ボールから投じられた球は打つべきではない」という暗黙の了解を破る行為に当たるとして一部で問題に。ホワイトソックスの指揮官であるトニー・ラルーサも「私の『待て』のサインを見逃していた。あれは大きなミスだし、腹が立った」とメルセデスを戒めた。

 だが、自軍選手を責めたラルーサの発言には批判が殺到。米老舗紙『New York Post』が「ラルーサのような時代遅れのメンタリティーが、このスポーツが直面する問題だと感じる人も少なくない。今回の一件で、野球の不文律と戦うためにメルセデスを多くの人が支持している」と指摘。ついにはホワイトソックスの投手ランス・リンも地元ラジオ局『670 The Score』で「そんなルールはほとんどなくなってきているはずだ」と指揮官の考えとは相反する意見を口にした。

「彼(ラルーサ)の意見には賛成できないね。何よりも野手がマウンドにいるならそんなルールはおかしいだろ。文句を言うぐらいなら本職のピッチャーを登板させるべきだったんじゃないかな」
【動画】両軍ベンチが激怒!? 超ユルユルボールを打ち込んだ不文律破りホームランはこちら
 
 不文律に対する話題には、球界屈指の剛腕も持論を展開。昨年のサイ・ヤング賞右腕であるトレバー・バウアー(ロサンゼルス・ドジャース)は、自身のツイッターで明瞭な考えを明らかにしている。

「バッターの皆さんへ。もしも、3-0からのホームランを俺から打っても、俺はそれを犯罪だとは思わないよ。今もそのカウントから打ったことに怒っている皆さんへ。どうかゲームから出ていってくれ。いまだにそういうことを話しているのがあり得ない。もし、打たれるのが嫌なら監督もピッチャーもマシな仕事をしろ」

 米野球殿堂入りを果たしている76歳の名将が批判を浴びる事態になったメルセデスの"不文律破り"。これからも議論が続くであろう問題に答えが出る日は訪れるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部
NEXT
PAGE
【動画】両軍ベンチが激怒!? 超ユルユルボールを打ち込んだ不文律破りホームランはこちら