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MLB

MLBの「新たな顔」になるか? 時代遅れの“不文律”を打破するのにふさわしいタティースJr.

宇根夏樹

2020.08.21

ここまで本塁打と打点でリーグトップを走るタティースJr.。メジャー2年目でのMVP受賞も十分あり得る。(C)Getty Images

ここまで本塁打と打点でリーグトップを走るタティースJr.。メジャー2年目でのMVP受賞も十分あり得る。(C)Getty Images

 フェルナンド・タティースJr.(パドレス)の父は、1イニングに2本の満塁本塁打を打ったMLB史上唯一の選手だ。その21年後、当時は0歳だった息子が記録したメジャー初の満塁本塁打が、父とはまったく違う意味で注目を集めている。

 8月17日のレンジャーズ戦、8回表、1死満塁の場面でタティースJr.は打席に入った。前の回に自身が打った3ラン本塁打で、パドレスは10対3とリードしていた。カウントは3ボール0ストライクになり、ジェイス・ティングラー監督は「待て」のサインを出した。だが、タティースJr.は4球目を振り、ライトスタンドへ叩き込んだ。

 これが思わぬ波紋を呼んだ。大きくリードした試合終盤に、このカウントで打ちにいくのは、球界の“暗黙のルール”に反するというのだ。本塁打を浴びたホアン・ニカシオ(レンジャーズ)に代わって登板したイアン・ジーボウは、さっそくマニー・マチャドにぶつけようとした。これは明らかに報復行為だった。本来ならタティースJr.を狙うところだが、この試合で再び打席が回ってくる可能性は低いため、マチャドを標的にしたのだろう。
 
 試合後、レンジャーズのクリス・ウッドワード監督は「7点リードの8回は、カウント3-0からスウィングするのにふさわしい場面ではない」と発言した。タティースJr.自身も謝罪し、「次は(振らずに)見送るつもりさ」と語った。

 これに対し、タティースJr.を擁護する声も続々と上がっている。トレバー・バウアー(レッズ)は「ヘイ、よく聞けよタティースJr.。(1)状況に関係なく、そうしたければ3-0から振り続けろ。(2)状況に関係なく、ホームランを打ち続けろ。(3)ベースボールに活力と新鮮さをもたらし、楽しくしてくれ。(4)君の唯一の過ちは謝ったことだ。それはやめろ」とツイート。また、ティム・アンダーソン(ホワイトソックス)は「これだから球界が進歩しないのさ。なぜ監督は彼を全面的に支持しないんだ。試合は終わってなかっただろ」と綴った。

 こうした意見は、現役選手にとどまらない。殿堂選手のレジー・ジャクソンやジョニー・ベンチも同じ考えだ。ジャクソンはツイートの中で「球界は君のような選手を必要としている」とエールを送った。ベンチは「3-0から安易に見送って3-1とすれば、そこから投手に挽回の余地を与えてしまう」と説いた。
 

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