高校野球

高校通算63本塁打を記録するドラフト候補!有薗直輝が目指すのは「夏までに70本」の大台

大友良行

2021.06.11

申告敬遠で勝負を避けられるケースが増えたため、有薗は3番に打順を変えられた。写真:大友良行

 高校通算63本塁打(6月10日現在)を記録しているプロ注目大型スラッガー、有薗直輝三塁手を擁する千葉学芸が、「申告敬遠対策」を講じている。

 ここ4、5年でメキメキと力をつけてきた千葉学芸は、今や千葉県内の実力校の仲間入り。春の県大会で選抜甲子園大会に出場した専大松戸を8対2で下し、2000年創部から21年目にして県大会初優勝を遂げた。特に専大松戸には昨秋の準々決勝で延長16回のタイブレークで敗れているだけに感激ひとしお。有薗の2本の二塁打を含め17安打を放ち、完勝で関東大会初出場を決めた。

 その関東大会では準優勝の関東一を相手に左腕エースの北田悠斗(3年)が好投し、9回まで2対0でリードしていたが、その裏に3点を取られ残念ながら逆転負け。有薗はプロからマークされている市川祐投手と対戦し、3打数2安打、1四球、1失塁と全打席で出塁した。特に左前に放った2安打は強烈な当たりで、詰めかけたスカウトたちを唸らせた。
 
「やっぱり関東大会に出てくるチームはレベルが高かったが、そんなに力の差は感じなかった。好投手から打てて、良い経験になりました。夏につなげていきたいです」

 この試合を含めて今春から、学芸は有薗と板倉颯汰一塁手(3年)の3、4番を入れ替えた。

「有薗の評判が高まるにつれ、どうしても申告敬遠にあうことが多くなりました。有薗を3番に持っていくことで好打者の板倉が後ろで打ってくれれば得点につながるという計算です。有薗が4番だと、申告敬遠された後、続く打者がいません」と高倉監督。板倉に勝負を託し、夏の県大会を突破、甲子園を目指す新戦法だ。

 高倉監督は、三重県松阪市生まれの46才、社会科の教諭を務める。就任当初は、部員が14人しかいない弱小チームで、取り組む選手たちの姿勢もいい加減だった。試合で大敗するのは日常。しかし、中学生にリクルートをかけ、一から練習態度や生活態度を教え込んだ。「目的意識を持て」「各々の役割を果たせ」「自らに厳しく、妥協するな」をスローガンに掲げ、今や部員は104人の大所帯。校内での評価も良く、チームも年々強くなり、甲子園に手が届く位置まで辿り着いた。
 
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「外角でも本塁打を打てないと上では通用しない」