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MLB

「本当に素晴らしいピッチャーだ」7回2失点力投も黒星になったダルビッシュ、“元指揮官”が最敬礼!

THE DIGEST編集部

2021.06.11

7回2失点好投も敗れたダルビッシュ。昨年まで在籍した元指揮官に、その投球はどう映ったのだろうか?(C)Getty Images

7回2失点好投も敗れたダルビッシュ。昨年まで在籍した元指揮官に、その投球はどう映ったのだろうか?(C)Getty Images

 現地時間6月9日、サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有は、本拠地で行なわれたシカゴ・カブス戦に先発。7回を投げて3安打2失点、2四球8奪三振の力投を見せたものの、味方の援護なく試合は1対3で敗れ、今季2敗目を喫した。

 敗戦投手になったとはいえ、内容は素晴らしかった。この日もカッターやスライダー、スプリッターをはじめ7球種を操って8個の三振を奪い、4シームも平均95.7マイル(154.0キロ)、最速97.2マイル(156.4キロ)と速球の威力も申し分なかった。
 
 試合後の会見で「意識しないように投げました」と語っていたが、どうしても意識せざるを得ない対戦相手だった。カブスはダルビッシュが昨年まで3年間在籍し、昨オフに大型トレードで離れることになったチーム。加入当初は故障などもあって活躍できなかったが、2019年途中から覚醒してチームのエースとなり、昨年は最多勝&サイ・ヤング賞投票2位と絶対的な地位を築くまでになっていたのだから、思い入れがないわけがない。

 ダルビッシュは自身が打席に入る際、カブス主砲のアンソニー・リゾーの登場曲を採用。「自分が全然だめだった時に、リゾーがチームに迎え入れようとすごく絡んで、僕のことを引っ張ってくれた。その感謝の意味もありますし、すごく仲が良いのもあったので、カブスが(サンディエゴに)来るときに使いたいと思っていた」と、その心境も明かしている。
 
 思い入れがあるのは、何もダルビッシュに限った話ではない。昨年からカブスの指揮官を務めているデビッド・ロスは、この対戦カード直前に「ユウの笑顔が見られなくて寂しかった」と吐露。さらに「監督の立場からしても、彼がマウンドに上がるのを見ると、すごくいい気分になるよ」とも語った。

 そして試合を終え、カブスは“元エース”相手から貴重な白星を挙げた。ダルビッシュを放出するなど開幕前の下馬評は高くなかったものの、ここまで35勝27敗でナ・リーグ中地区首位と快調な滑り出し。これについて訊かれたロス監督は、「期待値などはあくまで一つの要素に過ぎない」として今季のチーム状態の良さに手ごたえを口にしつつ、こう締めくくった。

「とはいえ、昨シーズンの我々の成功(2年ぶりの地区優勝)の大部分は、間違いなくダルビッシュが担っていた。そして改めて、彼は本当に素晴らしいピッチャーだ」

 カブスは今季好調でも、やはり“元エース”の存在は大きかったのだろう。実際、カブスの先発投手5人はいずれも防御率4点台以上。6勝2敗、防御率2.28、奪三振率10.48、WHIP0.91のダルビッシュがいたとしたら、もっと優位にシーズンを進めていた可能性が高い。

 新天地でも光り輝くダルビッシュ。好投を続けてチームを勝利に導き、またカブスも勝利を重ねていけば、もしかしたらプレーオフという大舞台で再戦する可能性もあるだろう。その時には改めて、「本当に素晴らしいピッチャー」たる姿を見せてほしいものである。

構成●THE DIGEST編集部

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