「打つ方面でその期待に応えられなかった。そこはチームのために仕事ができなかったのかなと思います」

　ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平は、現地時間６月23日に行なわれたサンフランシスコ・ジャイアンツ戦後に、こう漏らした。“リアル二刀流”として今季11度目の登板を果たした日のコメントである。

　ピッチングは、苦しみながらも良く投げ抜いたという評価ができるだろう。気温が30度まで上がる苦しいコンディションもあって、やや精彩を欠いたが、それでも６回１失点９奪三振と力投。最速98.7マイル（155.8キロ）の４シームとスライダーを駆使して要所を締め、ゲームを作った。
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　一方で打撃は、ジャイアンツとの２連戦を通してからっきしだった。インコースとアウトコースを巧みに攻め分けた名捕手バスター・ポージーを中心とした相手バッテリーに屈した大谷は、６打数ノーヒットと完璧に抑え込まれた。先述の言葉は、悔恨の思いから沸いたものだったのだろう。

　では、相手投手陣は「対大谷」をいかに考えていたのか。初戦で先発を任され、２三振を奪ったアンソニー・デスクラファニは、次のように語っている。
  「とにかく走者がいない状態でオオタニと対戦するのが理想だった。だから、前の打者には慎重になったね。それからオオタニの打撃のバランスを崩すことを考えつつ、彼のパターンにはまらないようにしようと。僕としては今夜それができたと思う」

　そして、大谷と投げ合ったジャイアンツのエース、ケビン・ゴーズマンは、「オオタニは全く別の生き物だね」と評したうえで、こう説いた。

「ダイナミックで、常に魅力が溢れている選手だからね。対戦する時はワクワクしたよ。オオタニは素晴らしい打者だから、とにかく自分のベストの投球を出そうと心掛けた。投手有利なカウントに持っていくことを意識したら、良いボールを投げることができた」

　もちろん、同じ手が通用するかは分からない。むしろ、26歳のサムライはそれを凌駕するかもしれない。だが、恐れずに勝負に出たジャイアンツの投手陣の攻めに、大谷の“攻略法”の一端を見た。

構成●THE DIGEST編集部
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