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【データで見る大谷翔平】“三冠王クラス”と言える圧巻の打撃。「ボンズ級のパワー」が誇大広告ではない数字とは?

SLUGGER編集部

2021.07.13

多士済々のメジャーでもトップレベルの成績を残す大谷。彼の今季のデータからその凄みを探った。(C)Getty Images

 今年のメジャーリーグにおいて、圧倒的な存在感を放っているのは間違いなく大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)だ。前半戦MVPを選出するならば、事実上、"野球の神様"ベーブ・ルース以来100年ぶりとなる二刀流としての活躍を続ける彼以外にあり得ないだろう。
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 その活躍ぶりの中でも、特筆すべきなのがバッティングだ。ご存知の通り、大谷は前半戦を両リーグダントツトップとなる33本塁打で折り返し、年間60本ペースで打ちまくっている。

 前半戦の33本は1998年のサミー・ソーサ(シカゴ・カブス)と並び、アメリカ出身選手以外で最多だ。もっとも、彼の打撃がいかに優れているのかを語るのに、本塁打数だけでは不十分。そこで、さまざまなデータからその傑出度を掘り下げてみようと思う。

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●OPS(出塁率+長打率)
【1】ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ):1.089
【2】大谷翔平(エンジェルス):1.062
【3】フェルナンド・タティースJr.(パドレス):1.020

●wRC+
【1】ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ):192
【2】大谷翔平(エンジェルス):178
【3】フェルナンド・タティースJr.(パドレス):172

●ISO
【1】大谷翔平(エンジェルス):.421
【2】フェルナンド・タティースJr.(パドレス):.375
【3】ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ):.330
 
 日本でもすっかりお馴染みとなった「OPS」。打者の攻撃力を図るのには非常に便利な指標で、とりあえずこれを見ておけば打者の立ち位置が分かるが、大谷は両リーグ2位のOPS1.062をマークして折り返した。

 1位のゲレーロJr.は本塁打数こそ大谷と5本差の28本にとどまっているものの、打率(.332)、打点(73)ともに両リーグ1位で三冠王も射程圏内。ただ逆に言えば、大谷の攻撃力は「三冠王クラス」とも言い換えることができる。

 OPSは球場の違いが考慮されていないという欠点があるものの、「wRC+」はより発展した指標となる。平均を100として、そこからどれだけ得点を稼ぎ出すかを示す数字なのだが、大谷はOPSに次いでこちらも2位。一切ケチのつけようのないバッターだと分かる。

 その圧巻の攻撃力を支えているのは、やはりパワーだ。『Isolated Power』、通称「ISO」と呼ばれる、長打率から打率を引いて算出される指標がある。

 シングルヒットでも数字が上がる長打率の穴を解消し、文字通りの"パワー"をいかに発揮したかを示す数字で、大谷は.421と両リーグ1位の圧倒的な数値を残している。平均が.140前後、.250もあればかなり優秀と言えるなかで、もはや異次元の領域だ。

 このISOの歴代ベストは、シーズン73本塁打を記録した2001年のバリー・ボンズ(.536)。大谷より上の選手は他にルース、マーク・マグワイアの3人だけしかいない。さらに1本塁打あたりにかかる打数(本塁打率)9.12も両リーグトップにして歴代12位。ここでも大谷の上にいるのはボンズらであり、彼らと比肩する"モンスター"級のパワーヒッターと言っても誇大広告ではないのである。

構成●SLUGGER編集部

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