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侍ジャパン

稲葉監督の脳裏に焼き付く“北京の悪夢”。侍ジャパンは負のジンクスを克服できるか【東京五輪】

出野哲也

2021.07.28

前回の北京五輪では優勝候補に挙げられながら、信じられないミスも出てメダルなしという屈辱の結果に終わった。(C)Getty Images

前回の北京五輪では優勝候補に挙げられながら、信じられないミスも出てメダルなしという屈辱の結果に終わった。(C)Getty Images

 いよいよ28日からオリンピックの野球競技が始まる。稲葉篤紀監督率いる侍ジャパンは金メダル獲得が至上命題とされる一方、いくつか不安の声も聞かれる。特に議論の的となっているのがメンバー編成だ。

 千賀滉大(ソフトバンク)や菅野智之(巨人=辞退)のように、故障上がりや今季調子の良くない選手が何人も選ばれていたことには、「(19年の)プレミア12優勝メンバーを優遇しすぎ、旬の選手を選んでいない」との声が上がった。柳田悠岐(ソフトバンク)のコンディション不良に伴い、センターの層の薄さも指摘された。

 とはいえ、これらの批判は感情的にすぎる印象を拭えない。代表選考は、個人成績表の上位から順にピックアップすれば完了――というようなものではないからだ。稲葉篤紀監督は、自身が実力をしっかり把握している選手を選びたかったのだろうし、国際大会を戦った経験も重視したと考えられる。
 
 そもそも、今回の出場国のうち、プロリーグでトップクラスの選手を召集したのは日本と韓国だけ。アメリカやドミニカ共和国はMLBがペナントレースを中断していないため、マイナーリーガー中心の顔ぶれだ。普通に実力を出せれば、日本が金メダルを取れる確率は限りなく高い。

 しかしながら、五輪で“普通に実力を出す”のが簡単ではないのも事実。図らずもそのことを証明したのが2008年の北京五輪だった。ダルビッシュ有をはじめ、将来のメジャーリーガー7名を擁するベストの布陣で臨み、星野仙一監督も「金メダル以外はいらん」と豪語していた。

 にもかかわらず、準決勝で韓国に敗れただけでなく、3位決定戦でもアメリカに勝てずにまさかのメダルなし。韓国とアメリカには4試合戦って一つも勝てず、全9試合で4勝5敗と文字通りの惨敗を喫した。

 準決勝と3位決定戦で致命的なエラーを犯したG.G.佐藤には轟々たる非難が浴びせられたが、他にも中日の絶対的守護神として君臨していた岩瀬仁紀も救援失敗が相次ぐなど、予想外の誤算が次々に起きた。それも国の威信を懸けた国際試合という、普段は感じることのないプレッシャーに見舞われたからこそだろう。
 
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