侍ジャパン

「貴重な技術だ」侍ジャパンを救った甲斐拓也のスクイズを米メディアも絶賛!「野球の原点とも言えるプレー」【東京五輪】

THE DIGEST編集部

2021.07.28

見事にスクイズを成功させた甲斐。日本の技術力の高さが世界の舞台で証明されたシーンでもあった。(C)Getty Images

 土壇場でゲーム展開を変えたのは、起死回生のバントだった。

 7月28日に行なわれた東京五輪の男子野球の1次リーグ初戦は、稲葉篤紀監督が率いる侍ジャパンが、ドミニカ共和国から4対3の劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

 9回裏までに1対3と突き放されていた日本。今回が代表初招集となった青柳晃洋(阪神)と栗林良吏(広島)が打ち込まれ、継投策が裏目に出る形での失点だっただけに、明らかに追い込まれていた。

 だが、不穏な空気を一掃したのが、"扇の要"となった男の価値ある小技だ。村上宗隆(ヤクルト)のライト前タイムリーで1点を返して、なおも1死一、三塁の場面。ここで打席に立った甲斐拓也(ソフトバンク)が初球からスクイズを敢行。これは空振りに終わるも、2球目に一塁線へふたたびセーフティー気味のスクイズを決め、値千金の同点打となったのだ。

 28歳がもたらした貴重な1点が、坂本勇人(巨人)のサヨナラタイムリーの呼び水となったことは言うまでもない。作戦を実行させた稲葉監督の喜びを隠さない。試合後の公式会見で「どうしても追いつきたかった」と振り返った。
 
「タイブレークも想定しながら、まずは源田を代走に送りました。(甲斐)拓哉のところは、どうしても同点に追いつきたかったので、初球は偽装スクイズというサインでやってもらいました」

 スモールベースボールを掲げる日本の象徴ともいえる形での得点に、"野球の本場"アメリカのメディアからも賛辞が送られている。『Click On Detroit』は、「恥ずかしい敗北の危険にさらされた日本だったが、彼らの野球の原点とも言えるプレーで物事を好転させた」と称賛。さらに「西半球の野球ファンは望まなくなり、好まれもしなくなったバントは日本にとっては貴重な技術だ」と記し、敵将ヘクター・ボルグのコメントを紹介した。

「あのプレーは日本の野球でよく起こることであり、予想してはいた。しかし、残念ながら、我々は正しく対応することができなかった」

 求められた役割を正確にこなした甲斐のバントは、世界に日本野球の底力を示すプレーだったと言えるだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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