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プロ野球

故障を乗り越えて大輪の花を咲かせた5球団競合右腕・佐々木千隼の決意<SLUGGER>

村岡範子

2021.08.24

故障を乗り越え、プロ5年目で大ブレイクを果たした佐々木。写真:産経新聞社

故障を乗り越え、プロ5年目で大ブレイクを果たした佐々木。写真:産経新聞社

 Perfumeの『FLASH』が、ZOZOマリンにこの男が登場する合図だ。静かなイントロから徐々に盛り上がっていく曲調が、自然と球場のムードを盛り上げる。今や、彼がマウンドに上がればマリーンズファンはチームの勝利を確信するまでになった。

「8回の男」として定着した佐々木千隼のことだ。

 今シーズンの佐々木の投球は見事の一言に尽きる。前半戦では31試合に登板して4勝0敗12ホールド、防御率1.06。セットアッパーとして勝利の方程式にも加わり、初のオールスターにも選ばれた。

 好調の要因について本人は、「何なんですかね……」と少し考え込んでから、「真っすぐが変わったというか、良くなったっていうのと、フォアボールが少なくなったところかなと思います」。また、キャンプで投球フォームを微調整したことを明かした上で、「フォームとボールのギャップでバッターが差し込まれたりしてほしいなと思って投げています」と話した。
 
「真っすぐが良くなった」「フォアボールが少なくなった」「バッターが差し込まれている」――これらの言葉は、数字上でも裏付けられる。ここまで、ストレートの被打率は1割台、9イニング平均の与四球数は2.37で、プロ1年目の5.06と比べると見違えるほど改善されている。また、本人は「打球内容はそんなに意識していない」と話すが、ゴロ率も55%近くに達し、プロ5年目で最も高い数字となっている。

 27歳にして自己最高のシーズンを送っている佐々木だが、入団してからここまでの道のりは、まさに紆余曲折だった。16年のドラフト1位で桜美林大から入団。外れ1位では史上初の5球団が競合したことで、大きな注目を浴びた。1年目は開幕ローテーション入りを果たして4勝を挙げたが、2年目に右ヒジを故障して手術を受けた。その後2年間も一軍での登板数はほとんどなく、昨季までの4年間で通算わずか27登板、6勝。5球団競合のドラフト1位としては、寂しい数字だった。

 球宴選出が決まった際の会見で、佐々木はこの4年間を振り返って「ほとんどが苦しいというよりつらい」、「自分が思うようなパフォーマンスを出せなかった」と正直な心情を吐露した一方で、「ちょっと気楽にやろう」と思うようになったとも語っていた。その心境の変化について聞くと、「そんなに深く考えなくなったというか、もうちょっと余裕をもっていこうという感じになった」と淡々と話しながら、「気持ちと成績とは別」と付け加えた。あくまでも、開花の要因は技術的な進歩ということだ。
 

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