大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)が独走していた本塁打王レースに、暗雲が立ち込めている。
大谷は今季開幕から本塁打を量産すると、6月には13発の固め打ちで両リーグ単独トップへ。7月には松井秀喜の持つ日本人シーズン最多31号を超え、その後も順調に本数を伸ばしていた。ところが、エンジェルス最強打者との勝負を避けようと、相手球団から“四球攻め”にあい、また自身の調子も下降して8月は4本にとどまった。その間に一気に迫ってきたのが、カンザスシティ・ロイヤルズの捕手、サルバドール・ペレスだ。
大谷とオールスターでバッテリーを組んだゴールドグラブ5回&シルバースラッガー3回の名捕手は8月に大爆発。27日のシアトル・マリナーズ戦で史上25人目の2試合連続グランドスラム、29日には球団タイ記録の5試合連続弾をかけた。これで今季38本となり、大谷とは3本差。さらにシーズン75%以上を捕手で守った選手としては、1985年のカールトン・フィスクの37本を抜くア・リーグ捕手新記録も樹立したのだった。
【動画】“大谷の新ライバル”、ペレスが2試合連続グランドスラムの偉業達成! この大記録を受け、MLBアナリストのライアン・M・シュペーダー記者は「これについてあまり語られないが、サルバドール・ペレスは基本的に攻撃面ではマイク・ピアッツァ、守備面ではヤディア・モリーナである」と称賛。ピアッツァは捕手としての歴代最多396本塁打(通算427本)を記録した超大型キャッチャーであり、モリーナはゴールドグラブ9回の言わずと知れた最高の司令塔。前者はすでに殿堂入りし、後者も当確と言える状況だ。
シュペーダー記者はペレスを球史に残る名捕手2人になぞらえたわけだが、これが大きな波紋、というより特に攻撃面に関して批判の声が向けられているのだ。
ペレスは以前からパンチ力に優れており、トミー・ジョン手術で全休した2019年まで4年連続で20本塁打以上をマーク。そして今季は38本と大ブレイクした。しかし、かなり積極的な打者でボール球でも構わず振るため、先の4年間で出塁率3割を超えたことは一も度なかった。そして、今季もこれだけ打っている一方で、出塁率はメジャー平均を下回る.315。OPS.859は優秀ではあるものの、全体的な攻撃力が高いとは言えない。
だからこそ、『NBC Sporst』のマット・ウィリアムズ記者が「ピアッツァは通算打率が.308、ペレスは通算出塁率が.301」と懐疑的な目を向け、ミネソタ・ツインズ番記者のブランドン・ウォーン氏も「今季の本塁打数以外で、ペレスがピアッツァを上回る指標は存在しない」と批判し、多くのファンも概ね同調。また、守備に関しても、ペレスは強肩を武器に今季も盗塁阻止率がリーグトップに立っている一方、フレーミングが課題で守備指標は低迷しており、モリーナ級ではないとの見方も多い。
打率・本塁打・打点。いわゆる打撃三冠のタイトルホルダーは称賛されてしかるべきではあるものの、研究が進み、“それだけではない”真の打力が求められる潮流も同時にある。とはいえ、捕手で唯一本塁打王を獲得したのは1970年のジョニー・ベンチただ一人。もしペレスがこの記録も抜くようなことがあれば、そこには称賛の声があふれるはずだが果たして。
構成●THE DIGEST編集部
大谷は今季開幕から本塁打を量産すると、6月には13発の固め打ちで両リーグ単独トップへ。7月には松井秀喜の持つ日本人シーズン最多31号を超え、その後も順調に本数を伸ばしていた。ところが、エンジェルス最強打者との勝負を避けようと、相手球団から“四球攻め”にあい、また自身の調子も下降して8月は4本にとどまった。その間に一気に迫ってきたのが、カンザスシティ・ロイヤルズの捕手、サルバドール・ペレスだ。
大谷とオールスターでバッテリーを組んだゴールドグラブ5回&シルバースラッガー3回の名捕手は8月に大爆発。27日のシアトル・マリナーズ戦で史上25人目の2試合連続グランドスラム、29日には球団タイ記録の5試合連続弾をかけた。これで今季38本となり、大谷とは3本差。さらにシーズン75%以上を捕手で守った選手としては、1985年のカールトン・フィスクの37本を抜くア・リーグ捕手新記録も樹立したのだった。
【動画】“大谷の新ライバル”、ペレスが2試合連続グランドスラムの偉業達成! この大記録を受け、MLBアナリストのライアン・M・シュペーダー記者は「これについてあまり語られないが、サルバドール・ペレスは基本的に攻撃面ではマイク・ピアッツァ、守備面ではヤディア・モリーナである」と称賛。ピアッツァは捕手としての歴代最多396本塁打(通算427本)を記録した超大型キャッチャーであり、モリーナはゴールドグラブ9回の言わずと知れた最高の司令塔。前者はすでに殿堂入りし、後者も当確と言える状況だ。
シュペーダー記者はペレスを球史に残る名捕手2人になぞらえたわけだが、これが大きな波紋、というより特に攻撃面に関して批判の声が向けられているのだ。
ペレスは以前からパンチ力に優れており、トミー・ジョン手術で全休した2019年まで4年連続で20本塁打以上をマーク。そして今季は38本と大ブレイクした。しかし、かなり積極的な打者でボール球でも構わず振るため、先の4年間で出塁率3割を超えたことは一も度なかった。そして、今季もこれだけ打っている一方で、出塁率はメジャー平均を下回る.315。OPS.859は優秀ではあるものの、全体的な攻撃力が高いとは言えない。
だからこそ、『NBC Sporst』のマット・ウィリアムズ記者が「ピアッツァは通算打率が.308、ペレスは通算出塁率が.301」と懐疑的な目を向け、ミネソタ・ツインズ番記者のブランドン・ウォーン氏も「今季の本塁打数以外で、ペレスがピアッツァを上回る指標は存在しない」と批判し、多くのファンも概ね同調。また、守備に関しても、ペレスは強肩を武器に今季も盗塁阻止率がリーグトップに立っている一方、フレーミングが課題で守備指標は低迷しており、モリーナ級ではないとの見方も多い。
打率・本塁打・打点。いわゆる打撃三冠のタイトルホルダーは称賛されてしかるべきではあるものの、研究が進み、“それだけではない”真の打力が求められる潮流も同時にある。とはいえ、捕手で唯一本塁打王を獲得したのは1970年のジョニー・ベンチただ一人。もしペレスがこの記録も抜くようなことがあれば、そこには称賛の声があふれるはずだが果たして。
構成●THE DIGEST編集部