現地時間9月8日、この日の試合開始までにメジャートップの本塁打数を誇っていたのはご存じ、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)で43本。次いでカンザスシティ・ロイヤルズの大型捕手サルバドール・ペレスが2本差で41本、トロント・ブルージェイズの22歳の神童ブラディミール・ゲレーロJr.が40本という順だった。
その状況下で、大谷は前日からのサンディエゴ・パドレス戦でDH制が使えなかった影響でベンチスタート。ライバルに迫られる可能性が高かったわけだが、まさに予想通りの結果となっている。
ペレスがボルティモア・オリオールズ戦で大谷に1本差に迫る42号アーチをかけると、その1時間後には、ゲレーロJr.が世界最速投手アロルディス・チャップマン(ニューヨーク・ヤンキース)から41号。両者とも大谷の背中を完璧に捉えた格好となった。
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8月に12本塁打と好調だったペレスとは対照的に、ゲレーロJr.は大谷ともども夏場にやや失速。しかし、8月下旬から14試合連続安打と持ち直すと、次第に快音も鳴り響くようになってきた。気づけば、カナダのスポーツメディア『Sportsnet』のベン・ニコラス=スミス記者が「三冠王が見えてきた!」と報じたように、再びトリプルクラウンが視界に入ってきたのである。
9月に首位打者争いのトップに躍り出たゲレーロJr.は、8日の試合を終えて打率.320はメジャー1位。そして本塁打数は大谷に2本差の3位、99打点はペレスに5点差の4位まで浮上。残り23試合、またチームの打線も好調とあって確かに十分チャンスがあるように思えてくる。
もしゲレーロJr.が三冠王となるようだと、気になってくるのがMVPの行方だ。前半戦終了前から大谷が当確と言われ、実際、アウォード投票で重要視される勝利貢献度WARにおいて大谷はメジャー1位をマークしている。しかし、2012年にWARダントツ1位のマイク・トラウトが45年ぶりの三冠王となったミゲル・カブレラの前に“大敗”したように、三冠王というインパクトもまた大きい。ブルージェイズがプレーオフ争いを演じる中で活躍している点も見逃せない。
大谷が本塁打王となれば、前人未到の二刀流における偉業がさらに輝きを増し、またアジア人が太刀打ちできないとされた分野での活躍は改めて唯一無二のもになる。ペレスが本塁打王となれば、捕手ではジョニー・ベンチ以来の快挙であり、現在のペースならば捕手新の45号も確定的で、こちらも金字塔だ。そしてゲレーロJr.がタイトルを手にすれば、
おそらくは高い確率で三冠王となっている可能性が高い。
いずれも歴史への挑戦という点は共通している。果たして、最後にレコードブックに“キング”として名前が残るのは誰だろうか。今後も目が離せない。
構成●THE DIGEST編集部
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