プロ野球

ドラフト上位指名候補もまさかの志望届未提出! プロ行きを“見送った”3人の逸材とは?

西尾典文

2021.09.30

プロでも注目されていた逸材3人を厳選。強肩強打の福本(右)、東海大・高杉(左上)、拓殖大・川船(左下)の本格派も社会人へ。写真:西尾典文

 10月11日に行なわれるプロ野球のドラフト会議。高校生と大学生のプロ志望届の提出は9月27日に締め切られたが、未提出の選手の中にも、プロ志望であれば指名の可能性が高かった選手は少なくない。今回はそんな意外な未提出に終わった逸材について紹介したい。

 高校生で意外な未提出に終わった選手の代表格が、福本綺羅(明石商)だ。中森俊介(ロッテ2位)、来田涼斗(オリックス3位)と、2人のプロ選手を輩出した旧チームでも1年秋から中軸を任せられた強打の外野手で、昨年夏の甲子園交流試合でも4番として出場している。最終学年となった今年は身体も一回り大きくなり、春、夏ともにパワーアップした打撃を見せていた。

 強肩と俊足も兼ね備えており、外野手としての総合力は先輩の来田と比べても決して引けを取らない。夏の兵庫大会で敗退直後はプロ入りの希望も口にしており、若手の外野手が不足している球団にとっては非常に魅力的な人材だった。

 しかし結局、志望届の提出は見送り社会人へ進むこととなった。大学でプレーするよりもレベルは高くなるが、高校でも早くからレギュラーとして活躍してきただけに、3年後のプロ入りに期待したい。

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 大学生で意外な未提出となったのが川船龍星(拓殖大)と高杉勝太郎(東海大)の本格派右腕2人だ。

 川船は1年春からリーグ戦での登板を経験し、今年の春はレベルの高い東都二部でリーグ3位の防御率1.52をマーク。真上から投げ下ろすフォームが特徴で、最速150キロのストレートはスピードだけでなく角度も素晴らしいものがある。

 5月18日に行われた日本大との試合では、上位候補に挙げられている赤星優志との投げ合いを、1失点完投と見事なピッチングで制した。昨年秋に故障でシーズンを全休していなければ、上位候補に浮上していた可能性も十分にあるだろう。

 一方の高杉は、層の厚い投手陣ということもあってリーグ戦デビューは2年秋と遅かったが、最終学年に急成長。今年秋のリーグ開幕戦ではドラフト1位候補の佐藤隼輔(筑波大)と投げ合っているが、佐藤がわき腹を痛めて4回途中で降板したのを尻目に1失点完投(試合は1対1で引き分け)。序盤から終盤までコンスタントに140キロ台後半のスピードをマークし、内角を強気に攻める投球も光った。

 春に不調だったことが響いて志望届の提出を見送ったと思われるが、現在のピッチングを社会人でも続けることができれば、2年後は上位指名候補となる可能性は高いだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。