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プロ野球

【ドラフト候補タイプ別診断:「スピードスター」】東京六大学を代表する2人の韋駄天を筆頭に社会人にも逸材が<SLUGGER>

西尾典文

2021.10.08

高校時代から快足で鳴らしてきた丸山。ただ足が速いだけでなく、判断能力にも優れる。写真:西尾典文

高校時代から快足で鳴らしてきた丸山。ただ足が速いだけでなく、判断能力にも優れる。写真:西尾典文

 いよいよ11日に迫ったプロ野球のドラフト会議。今年も多くの選手に注目が集まるなか、テーマ別に有力候補を紹介していく。今回のテーマは「スピードスター」だ。

 まずこのカテゴリーの有力選手として名前が挙がるのが、丸山和郁(明治大)と渡部遼人(慶応大)の東京六大学を代表する外野手2人だ。

 丸山は前橋育英時代から俊足巧打のトップバッターとして活躍。甲子園にも2年夏から3季連続で出場し、3年夏には大会タイ記録となる8盗塁をマークして話題となった。大学でも2年春にレギュラーをつかみ、その後に行なわれた日米大学野球にも大学日本代表として出場。この秋は太腿の肉離れの影響で少し調子を落としているが、単純な脚力だけでなく積極性、走塁の判断なども一級品だ。

 一方の渡部は甲子園出場こそないものの、1年秋から外野の一角に定着。今年の春までで丸山を上回るリーグ戦通算18盗塁をマークしている。とにかくトップスピードに入るのが速く、4.0秒を切れば俊足と言われる一塁到達タイムではコンスタントに3.8秒台をマークする。
 また、守備での打球への反応の速さは天下一品で、センターの守備でも度々チームを救うプレーを見せている。非力な打撃が課題となるが、この秋はミート力も向上して開幕戦からヒットを量産し、評価を上げている。

 大学生では鈴木大和(北海学園大)も面白い存在だ。北海高校では2年夏、3年夏と2年連続で甲子園に出場し、当時からスピードでは目立つ存在だったが、大学で更に磨きがかかった印象を受ける。右打者だが一塁到達タイムは常に4.00秒前後をマーク、全力疾走を怠らない姿勢も好感が持てる。この春は打撃不振に苦しんだが、秋には復調。全国的には無名の存在だが、昨年指名された並木秀尊(ヤクルト)のように、密かに狙っている球団もありそうだ。

 社会人では即戦力のテーマで取り上げた藤井健平(NTT西日本)も抜群のスピードを誇るが、大内信之介(JPアセット証券)、金子莉久(JR東日本)の2人も負けていない。大内は昨年セガサミーの補強選手として都市対抗に出場。全試合で2番を任されると、度々セーフティバントを成功させるなどリードオフマンの役割を果たし、チームのベスト4進出に貢献した。

 金子は国学院栃木時代から同じ栃木でプレーしていた五十幡亮汰(日本ハム)にも引けを取らないスピードを見せていた快足外野手。白鴎大では4年間、8シーズンで通算59盗塁もマークしている。現在のチームでは9番ながらそのスピードは大きな武器となっている。大内、金子とも小柄で非力なだけにプロが熱心という声は聞こえてこないが、足の一芸選手として面白い選手であることは間違いない。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
 

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