下馬評を覆しての悲願のタイトルだった。10月27日、千葉ロッテマリーンズが楽天イーグルスに敗れたため、オリックス・バファローズが、25年ぶりのリーグ優勝を果たした。
昨年、一昨年と2年連続最下位、さらには6年連続Bクラスからの大躍進だった。ちなみにセ・リーグ覇者となったヤクルト・スワローズも過去2年は最下位。両リーグで2年連続最下位からの優勝が同時に決まったのは、長いプロ野球の歴史で史上初の出来事だ。
イチローや田口壮など後にメジャーリーガーとなる名手たちを、名将・仰木彬が巧みに統率した25年前は2位に7ゲーム差をつけての戴冠だった。しかし、今年はロッテとのデッドヒートを制しての優勝だ。前回の歓喜を知る中島聡監督が「お待たせしました!」とフラッシュインタビューで漏らしたのは無理もない。
そんな快進撃をけん引したひとりが、4番に定着した“ラオウ”こと杉本裕太郎だ。
2015年のドラフトでも10位の最下位指名だった。そんな30歳は昨年までのプロキャリア5年間の通算本塁打数はわずかに「9」。決して褒められた数字は残せていなかった。それが今年は32本塁打、83打点と飛躍的に成果を伸ばしたのである。
2軍時代から薫陶を受けてきた指揮官の信頼に応えてみせた杉本。そんな遅咲きの大砲の今季を振り返るうえで、特筆すべきは圧倒的な勝負強さとパワーだ。
杉本の「OPS」(出塁率と長打率を足した値)は、リーグトップのチームメイト、吉田正尚(.992)に続く.931。これはソフトバンク・ホークスの柳田悠岐(.929)や西武ライオンズの森友哉(.889)ら名だたるスラッガーを凌ぐ数字だ。
さらに1打席あたりにチームの得点数増加にどれだけ貢献したかを示す「wOBA」も、両リーグで、鈴木誠也(広島カープ/.466)、村上宗隆(ヤクルト/.431)、吉田(.429)に次ぐ4位(.414)と高い数値を残している。これは杉本がいかにチャンスで4番の役割を果たしたかを示すものだろう。
また、打者の純然たるパワーを示す「ISO」(長打率から打率を引いた値)もリーグでは屈指の数値を叩き出した。首位はロッテのマーティン(.267)となっているが、杉本はそれに次ぐ.251。これは非常に優秀と言えるレベルであり、柳田(.240)や吉田(.224)を上回っているのだ。これで打率も.301なのだから恐ろしい。
プロ6年目で覚醒した杉本。文字通りの力強い彼の打力なくして、この戴冠劇は成立しなかったはずだ。
構成●THE DIGEST編集部
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昨年、一昨年と2年連続最下位、さらには6年連続Bクラスからの大躍進だった。ちなみにセ・リーグ覇者となったヤクルト・スワローズも過去2年は最下位。両リーグで2年連続最下位からの優勝が同時に決まったのは、長いプロ野球の歴史で史上初の出来事だ。
イチローや田口壮など後にメジャーリーガーとなる名手たちを、名将・仰木彬が巧みに統率した25年前は2位に7ゲーム差をつけての戴冠だった。しかし、今年はロッテとのデッドヒートを制しての優勝だ。前回の歓喜を知る中島聡監督が「お待たせしました!」とフラッシュインタビューで漏らしたのは無理もない。
そんな快進撃をけん引したひとりが、4番に定着した“ラオウ”こと杉本裕太郎だ。
2015年のドラフトでも10位の最下位指名だった。そんな30歳は昨年までのプロキャリア5年間の通算本塁打数はわずかに「9」。決して褒められた数字は残せていなかった。それが今年は32本塁打、83打点と飛躍的に成果を伸ばしたのである。
2軍時代から薫陶を受けてきた指揮官の信頼に応えてみせた杉本。そんな遅咲きの大砲の今季を振り返るうえで、特筆すべきは圧倒的な勝負強さとパワーだ。
杉本の「OPS」(出塁率と長打率を足した値)は、リーグトップのチームメイト、吉田正尚(.992)に続く.931。これはソフトバンク・ホークスの柳田悠岐(.929)や西武ライオンズの森友哉(.889)ら名だたるスラッガーを凌ぐ数字だ。
さらに1打席あたりにチームの得点数増加にどれだけ貢献したかを示す「wOBA」も、両リーグで、鈴木誠也(広島カープ/.466)、村上宗隆(ヤクルト/.431)、吉田(.429)に次ぐ4位(.414)と高い数値を残している。これは杉本がいかにチャンスで4番の役割を果たしたかを示すものだろう。
また、打者の純然たるパワーを示す「ISO」(長打率から打率を引いた値)もリーグでは屈指の数値を叩き出した。首位はロッテのマーティン(.267)となっているが、杉本はそれに次ぐ.251。これは非常に優秀と言えるレベルであり、柳田(.240)や吉田(.224)を上回っているのだ。これで打率も.301なのだから恐ろしい。
プロ6年目で覚醒した杉本。文字通りの力強い彼の打力なくして、この戴冠劇は成立しなかったはずだ。
構成●THE DIGEST編集部
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