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プロ野球

「自分の性質を知ることが大事」ヤクルト主砲・サンタナが語った“独特”な本塁打への想い「何か言われても変える必要はない」

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2021.11.11

ヤクルトCSファイナル先勝のキーマンとなったサンタナ。“不思議”な一発が多い理由を本人に訊ねると、面白い答えが返ってきた。写真:田中研治

ヤクルトCSファイナル先勝のキーマンとなったサンタナ。“不思議”な一発が多い理由を本人に訊ねると、面白い答えが返ってきた。写真:田中研治

 少し肌寒い神宮の夜空を舞った打球は、彼らしい“フワッと”した貴重なホームランだった。 

 セ・リーグは11月10日、CSファイナルステージ第1戦が行なわれ、リーグ優勝を果たしたヤクルトが4対0で3位からの下剋上を狙う巨人に先勝。アドバンテージの1勝を合わせてシリーズ成績を2勝0敗とした。 

 ヤクルトは先発の奥川恭伸が三者凡退でいい流れをもたらすと、その裏の攻撃で1番の塩見泰隆が二塁打。その後1死一、三塁から4番・村上宗隆の遊飛でホームを陥れる好走塁で先制点をもたらす。 

 どよめきと興奮が漂う神宮球場。その空気を、直後の1球で大歓声に変えたのが5番のサンタナだ。山口俊の初球を捉えた打球は、高々と空を舞い、5秒後。左翼スタンドへとポトリと落ちる2ランとなった。 

【動画】“フワっ”とした一撃! 燕・サンタナの貴重な2ランがこれだ

 29歳のドミニカン大砲は、シーズン序盤こそ物足りない成績が続いたが、勝負の10月に打率.377、7本塁打、OPS1.216と大爆発して優勝に貢献。規定打席には届かなかったものの、年間のOPS.877は二冠王・岡本和真(巨人/.871)を上回る数字であり、大黒柱の村上をしっかりプロテクトする役割も見事だった。 
 
 そんなサンタナは、少し“独特”のホームランが多いように感じる選手だ。 

 この日の一発も、打った瞬間は完璧な、どこまで飛ぶのかと思うような軌道を描いていたが、着弾点はかなり手前。例えば今季1号も、かなり「振り遅れ」のような感じで本人もあまり手ごたえがなさそうなのに、超低空ライナーで右翼席へズドン。極めつけは10月17日の中日戦。これも相当な「振り遅れ」に見えたが、高めを振り抜いた打球はグングンのび、バンテリンドームの右翼席、しかも中段まで届いた。 

 これは日本に来てからというわけでもなく、メジャー時代も「あー外野フライだな」と思った打球がまったく落ちてくることなくスタンドへ届くシーンが何度もあった。2017年は30本塁打を放った強打者でありながら、これでもかと引っ張った打球はあまりなく、この年の30発のうち23本がセンターから右というのも、非常に“特殊”だ。 

 あまりに不思議だったので、私は2019年に日本で行なわれたMLB開幕戦のために来日したサンタナに「どうして振り遅れて見えるのにスタンドまで届くのか」、「なぜ逆方向への一発が多いのか」と訊ねたことがある。当時は日本でプレーするとは思っていなかったはずだが、決して上手な英語ではない私に対して、にこやかに聞き取りやすい発音でこう語ってくれた。 

「確かに僕のホームランは引っ張ったものが少ないね。でも、僕の中では『捉えた!』って感じなんだよ」
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