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プロ野球

戦線を打開するための「決死の継投策」――ヤクルトが7回に石山を投入した理由【氏原英明の日本シリーズ「記者の目」】<SLUGGER>

氏原英明

2021.11.24

昨年はリーグ3位の20セーブを挙げたものの、今季はクローザーの座を1年全うできず。そんな石山が最高の舞台で最高の仕事をした。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

昨年はリーグ3位の20セーブを挙げたものの、今季はクローザーの座を1年全うできず。そんな石山が最高の舞台で最高の仕事をした。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 なかなか決着の見えない試合だった。

 先制しては逆転。すぐに追いつき、勝ち越したかと思ったら、再逆転。日本シリーズ第3戦は、いつ決着が着くのかがまるで見えなかった。

 その要因の一つには、両軍になかなか追加点が入らなかったこと挙げられる。

 オリックスは3回、1死満塁から宗佑磨の右翼前適時打で1点を先制するも、続くチャンスで吉田正尚は三振、4番の杉本裕太郎は一塁ファールフライに倒れた。一方のヤクルトも5回裏、2死満塁から6番・中村悠平がセンター前へのへのタイムリーヒットと相手のミスによって3点を挙げたが、その後の7番オスナはあえなく三振に倒れている。

 中盤5回を終わった時点で、この試合がもつれることは簡単に予想できた。3点差以上がつかない限り、試合の行方は最後まで見えてきそうになかった。

 ただ、それは言い換えれば、たとえ失点をすることがあっても、突き離されさえしなければ、勝機は見えてくるということの裏返しでもあった。
 
 そう言った意味で、この試合のキーポイントとなったのが7回の攻防だった。

 本題に入る前に、6回以降を少し振り返る。
 
 6回表、2点ビハインドのオリックスは、先頭の吉田正がレフトへの二塁打で出塁してチャンスメイク。すると、これまであまり元気のなかった主砲の杉本がライトスタンドにシリーズ初本塁打を叩き込んで同点とした。その裏のヤクルトの攻撃は無得点に終わり、いよいよ7回に突入する。

 ヤクルトはこの回からスアレスがマウンドに上がっていた。しかし、スアレスがピリッとせず、先頭の伏見寅威を四球で歩かせる、犠打で二進の後、福田周平にまたも四球を与えてしまい、ピンチはさらに拡大した。

 すると、ここでヤクルトベンチはサウスポーの田口麗斗を投入した。好調の宗、吉田正を料理してほしいとの願いを込めたのだろう。

 ただ田口は、宗を三振に切って取ったものの、吉田にはレフト線に打球を落とされて1点を献上。勝ち越しを許してしまった。
 

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