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プロ野球

反省すべき送りバント失敗のはずが……流れを変えたヤクルトの“致命的ミス”【氏原英明の日本シリーズ「記者の目」】<SLUGGER>

氏原英明

2021.11.21

9回裏に福田が送りバントを敢行する。「狙い通りではなかった」はずが、ヤクルトの守備の遅れで流れが変わった。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

9回裏に福田が送りバントを敢行する。「狙い通りではなかった」はずが、ヤクルトの守備の遅れで流れが変わった。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 当事者によれば、狙い通りではなかったという。

「三塁手に捕らせるところに転がしたかった。ちょっと緩めになってしまって、狙ったところではなかったですね」

 2点ビハインドの9回裏無死一、二塁。送りバントを敢行したオリックスの1番・福田周平は、反省すべきプレーとして、そのシーンを振り返った。

 しかしこの場面、ラッキーに働いたのはオリックスの方だった。

 福田の送りバントをさばいたヤクルトのクローザー、マクガフは三塁へ送球。これがやや逸れて、結果的に判定はセーフとなった。

 確かに、福田の言葉にあるように、絶妙な送りバントではなかった。

 この場面の送りバントとしては、まず、きっちり送ることが大前提だ。その上で、あわよくば三塁手と投手が捕球するギリギリのラインを狙ってセーフティバントとする手もある。
 
 とはいえ、2点ビハインドなのである。定石を考えれば、まずは走者を進めることを考えるべきで、投手前に転がった福田のバントは絶妙なものではなかった。

 ただ、守備側からすれば2点をリードしていたのだ。間一髪のタイミングの三塁へ投じることと、アウトを一つ重ねることのどっちにプライオリティがあったかは考えるべきだっただろう。

 オリックスの中嶋聡監督が振り返った言葉がこの試合を象徴している。

「序盤からこちらの打球が抜けなかった。相手の守備も上手くて、ずっと流れは良くなかった。チームの勢いは向こうにもあるし、こっちにもあるし、そのせめぎ合い。その中で変なミスがなかったら、何とか行けるのかなと言うのはありました」
 

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