ストーブリーグが盛り上がりを見せつつあるメジャーリーグ。現地11月23日に明らかになった新たなビッグディールが大きな話題を呼んでいる。
といっても、FA選手との契約ではない。レイズが今年メジャーデビューしたばかりの20歳の遊撃手ワンダー・フランコと11年1億8200万ドル(約207億円)の延長契約を結んだのだ。12年目は2500万ドル(約29億円)の球団オプションで、MVP投票5位以内に入った時のボーナスを含めると、最大12年2億2300万ドル(約254億円)に上る。実働1年以下の選手が結んだ契約としては、2019年のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス/8年1億ドル)を抜いて歴代最高額となった。
6月までマイナーでプレーしていたフランコの1年目の出場試合数はわずか70試合。これだけ見れば、かなりギャンブルのように映るかもしれない。だが、この契約はレイズにとってむしろ"お得"なものになる可能性が高い。
メジャーデビュー戦でいきなりホームランを放ったフランコは、その後一時苦戦する場面もあったが、7月25日からは43試合連続出塁を達成。これは20歳以下の選手では歴代最長タイであり、シーズン全体でも打率.288、7本塁打、OPS.810、bWAR3.5をマークして新人王投票3位に入った。また、ポストシーズンでも2本塁打を放つ活躍を見せるなど、潜在能力の高さを遺憾なく発揮した。
ショートというプラチナポジションをこなし、かつ打撃では首位打者も狙えると評判の大器は、早くも『MLB.com』による2022年のMVP候補に名前を連ねているほどだ。といっても、もしフランコが今回の延長契約を交わしていなかったら、来年MVP級の活躍を残したとしても、メジャー最低保証年俸(今季は57万500ドル、日本円で約6500万円)に毛が生えた程度しか得られなかったはずだ。
【動画】神童フランコがPOで"グリーンモンスター"超えの完璧弾! 来季の活躍に期待大! MLBの選手年俸は基本的に、最初の3年間は最低保証年俸から大きく変わらず、年俸調停権を得た4年目以降にジャンプアップするシステムとなっている。17年に新人歴代最多(当時)の52本塁打を放ったアーロン・ジャッジ(ヤンキース)は、この年に新人王&MVP投票2位に入ったが、翌年の年俸は62万2300ドル(約7100万円)に過ぎなかった。しかし、3年目を終えた19年オフに一気に850万ドル(約9億7000万円)までアップしている。
果たして、現行の労使協定に基づいてフランコの"通常"年俸パターンを想定すると、1~3年目は最低保証年俸+αで「160万ドル」、年俸調停3回を史上最高額前後で更新していったとすると、1100万ドル→2000万ドル→2700万ドルで5800万ドル。6年間トータルで、ざっと6000万ドル前後だ。本来はここでFAとなるわけだが、レイズは今回の延長契約により、1億7000万ドルでさらに6年間フランコを保有し続るというわけだ。
もちろん、フランコが期待通りに活躍すればという前提条件はつくものの、期待通りにスーパースターとなった日には、6年1億7000万ドルで契約することなど到底不可能。今オフはカルロス・コレアやコリー・シーガーら大物ショートストップがFAになっているが、いずれも総額3億ドル以上の契約が見込まれている。そう考えると、今回のフランコの大型契約が「バーゲン」となる可能性を秘めていることがよく分かるはずだ。
レイズは球界屈指の貧乏球団でありながら、創意工夫に富んだ戦いで2年連続地区優勝、3年連続のポストシーズン進出を果たしている。過去4年間の総年俸を合算した数字が233億3000万ドル。これは今回のフランコと交わした延長契約とほぼ同じ。それだけレイズの"本気度"がうかがい知れるというものだ。
構成●SLUGGER編集部
といっても、FA選手との契約ではない。レイズが今年メジャーデビューしたばかりの20歳の遊撃手ワンダー・フランコと11年1億8200万ドル(約207億円)の延長契約を結んだのだ。12年目は2500万ドル(約29億円)の球団オプションで、MVP投票5位以内に入った時のボーナスを含めると、最大12年2億2300万ドル(約254億円)に上る。実働1年以下の選手が結んだ契約としては、2019年のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス/8年1億ドル)を抜いて歴代最高額となった。
6月までマイナーでプレーしていたフランコの1年目の出場試合数はわずか70試合。これだけ見れば、かなりギャンブルのように映るかもしれない。だが、この契約はレイズにとってむしろ"お得"なものになる可能性が高い。
メジャーデビュー戦でいきなりホームランを放ったフランコは、その後一時苦戦する場面もあったが、7月25日からは43試合連続出塁を達成。これは20歳以下の選手では歴代最長タイであり、シーズン全体でも打率.288、7本塁打、OPS.810、bWAR3.5をマークして新人王投票3位に入った。また、ポストシーズンでも2本塁打を放つ活躍を見せるなど、潜在能力の高さを遺憾なく発揮した。
ショートというプラチナポジションをこなし、かつ打撃では首位打者も狙えると評判の大器は、早くも『MLB.com』による2022年のMVP候補に名前を連ねているほどだ。といっても、もしフランコが今回の延長契約を交わしていなかったら、来年MVP級の活躍を残したとしても、メジャー最低保証年俸(今季は57万500ドル、日本円で約6500万円)に毛が生えた程度しか得られなかったはずだ。
【動画】神童フランコがPOで"グリーンモンスター"超えの完璧弾! 来季の活躍に期待大! MLBの選手年俸は基本的に、最初の3年間は最低保証年俸から大きく変わらず、年俸調停権を得た4年目以降にジャンプアップするシステムとなっている。17年に新人歴代最多(当時)の52本塁打を放ったアーロン・ジャッジ(ヤンキース)は、この年に新人王&MVP投票2位に入ったが、翌年の年俸は62万2300ドル(約7100万円)に過ぎなかった。しかし、3年目を終えた19年オフに一気に850万ドル(約9億7000万円)までアップしている。
果たして、現行の労使協定に基づいてフランコの"通常"年俸パターンを想定すると、1~3年目は最低保証年俸+αで「160万ドル」、年俸調停3回を史上最高額前後で更新していったとすると、1100万ドル→2000万ドル→2700万ドルで5800万ドル。6年間トータルで、ざっと6000万ドル前後だ。本来はここでFAとなるわけだが、レイズは今回の延長契約により、1億7000万ドルでさらに6年間フランコを保有し続るというわけだ。
もちろん、フランコが期待通りに活躍すればという前提条件はつくものの、期待通りにスーパースターとなった日には、6年1億7000万ドルで契約することなど到底不可能。今オフはカルロス・コレアやコリー・シーガーら大物ショートストップがFAになっているが、いずれも総額3億ドル以上の契約が見込まれている。そう考えると、今回のフランコの大型契約が「バーゲン」となる可能性を秘めていることがよく分かるはずだ。
レイズは球界屈指の貧乏球団でありながら、創意工夫に富んだ戦いで2年連続地区優勝、3年連続のポストシーズン進出を果たしている。過去4年間の総年俸を合算した数字が233億3000万ドル。これは今回のフランコと交わした延長契約とほぼ同じ。それだけレイズの"本気度"がうかがい知れるというものだ。
構成●SLUGGER編集部