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プロ野球

「ここは山岡しかいない」――崖っぷちのオリックスに救世主! 山岡泰輔が5ヵ月ぶりの“復帰戦”で見せた矜持【氏原英明の日本シリーズ「記者の目」】<SLUGGER>

氏原英明

2021.11.26

実戦登板は6月22日以来。それでも山岡は日本シリーズの大舞台で大仕事をやってのけた。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

実戦登板は6月22日以来。それでも山岡は日本シリーズの大舞台で大仕事をやってのけた。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 日本シリーズを制覇するには救世主が必要だ。戦前から予測していた戦力とはまた別の存在、いわばラッキーボーイが出てきた時に、チームは大きく前進する。

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 完封勝利を挙げた投手や本塁打を放った打者が目立つのは確かだが、鍔迫り合いのような試合においては、必ずキーになる存在がいる。

 日本シリーズ第5戦は、すでに3勝を挙げているヤクルトが序盤から優位に進めた。だが、1勝を挙げて神戸に帰りたいオリックスが何とか粘り、食らいつかんとする試合だった。

 ゲームを左右したのは8回裏、オリックスのセットアッパー・ヒギンスの乱調だ。先頭の1番・塩見泰隆、2番の青木宣親を連続四球で出すと、3番の山田哲人に同点となる3ラン本塁打を浴びたのだった。

 続く4番の村上宗隆はセンターフライに抑えたものの、これもあと一歩間違えればスタンドに飛び込むような大飛球だった。
 

 オリックス・中嶋聡監督はここで禁じ手と言っていいほどの策に打って出た。9月に右ヒジクリーニング手術を受け、実に5か月ぶりの登板となる山岡泰輔を、この場面で送り出したのだ。

「球数の制限をかけないといけないし、連投は無理だろうし。でも、東京ドームの間に投げさせたいなと思っていた。ここは山岡しかない、と送り出しました」

 マウンドに上がった山岡は、1四球を許したものの勝ち越しを許さなかった。

 すると9回表、山岡の代打に入ったアダム・ジョーンズが起死回生の勝ち越し本塁打。最後のところで踏ん張ったオリックスが勝利を挙げたのである。

 中盤から打線がつながり、3点差をつけながらも同点に追いつかれたことは、オリックスにとって痛かったのは間違いない。ただ中嶋監督が「同点で止めたことが大きい」と語っているように、その後こそがカギだったのだ。

 相手のホームで振り出しに戻った試合展開。当然、スタジアムは大歓声。完全アウェーの空気の中で、抑え切るというのは容易ではない、

 ましてや長期離脱明けの山岡にとって、球場の雰囲気や実戦感覚などのさまざまな要素を鑑みても、冷静さを保つのも容易ではないはずだ。
 
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