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プロ野球

「俺がエースになる!」ついに迎えた、ヤクルト高橋奎二の覚醒のとき。奥川との左右の両輪で屋台骨を支えていく

THE DIGEST編集部

2021.12.21

日本シリーズでは第2戦に先発登板し、133球を投げてプロ初完投、初完封勝利を挙げた高橋。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

日本シリーズでは第2戦に先発登板し、133球を投げてプロ初完投、初完封勝利を挙げた高橋。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

「何勝でもしたいですね。20勝、30勝と。もちろん、開幕投手を目指します!」

 2021年シーズン終了後の契約更改の席において、来年の目標を問われた高橋奎二は、このように答えたという。この言葉を聞いて、「彼もずいぶんたくましくなったものだな」という感慨を抱いた。

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 というのも、わずか1勝3敗で終わった2020年シーズンの「ある光景」を思い出したからである。昨年7月30日、神宮球場で行なわれた対阪神タイガース戦のことだった。この試合に先発した高橋は8回を投げて、被安打3、無失点で初勝利を挙げた。この試合のヒーローインタビューにおいて、彼はファンに向けてこんな言葉を残している。

「今日みたいなピッチングが毎回できるわけではありませんが、今日みたいなピッチングを毎回できるように頑張ります!」
 
 神宮球場の片隅でこの言葉を聞いたとき、謙虚な性格なのか、それとも自信がないのかはわからないけれど、「せっかく藤浪晋太郎相手に堂々たるピッチングを見せて白星を挙げたのだから、“今日みたいなピッチングが毎回できるわけではありませんが”などと言わなくてもいいのに……」と感じたものだった。

 よく言えば「謙虚」なのかもしれないが、プロ選手としては「優しすぎる」と感じたものだった。龍谷大学付属平安高校の先輩であり、プロでもチームメイトでもあった今浪隆博さんはしばしば、「彼は気持ちが優しすぎる」と語っていたことが頭をよぎった。

 この謙虚すぎるヒーローインタビューからわずか1年数か月後、高橋はヤクルトの貴重な先発左腕として堂々たるピッチングを披露することになる。6年ぶりのリーグ制覇を決めた10月26日、横浜スタジアムでの試合では四番手として登板して勝利投手となった。
 

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