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MLB

【2021大谷翔平の軌跡:5月】圧巻だったグリーンモンスター越えの一発。本拠地球場では「MVPコール」も<SLUGGER>

斎藤庸裕

2021.12.27

最高のスタートを切った4月に続き、5月も順調にホームランを量産。マウンドでも躍動した。(C)Getty Images

最高のスタートを切った4月に続き、5月も順調にホームランを量産。マウンドでも躍動した。(C)Getty Images

 4月に引き続き、5月も大谷翔平は好調を維持した。11日には、勝ち星こそつかなかったものの強豪アストロズを相手にほぼ丸3年ぶりの2ケタ奪三振。14日のレッドソックス戦では、ベーブ・ルースも二刀流時代にプレーしたメジャー最古の球場フェンウェイ・パークで躍動した。レフトにそびえる高さ約11.3メートルのグリーンモンスター。2年ぶりに訪れた“聖地”で壁を越えた。

 5回の第3打席、ニック・ピベッタのナックルカーブを捉えた打球はレフトへ。体勢を崩され、最後は右手1本のフォロースルーとなったが、グリーンモンスターを超えるには十分だった。開幕から投打でフル稼働し、二刀流として臨んだ聖地での3連戦。伝説の再来に沸くファンから熱視線が注がれる中、見事に期待に応えた。

 これだけでは終わらない。16日は土壇場でチームの窮地を救った。今季初めて「3番」に座り、1点を追う9回2死一塁の場面で打席が回ってきた。一発が出れば逆転――。その期待に応え、クローザーのマット・バーンズから右翼ポール際への逆転2ランで試合を決めた。4連敗中という悪い流れの中、一発でチームの雰囲気を変えた。
 
「昨日、一昨日と負けているので、負け方もそんなに良くなかったですし、こういう試合を勝てるということは力あると思っているので、ここからいい波が来るように頑張りたい」

 主軸として打線を牽引する――チームに貢献したい強い意欲が結果に表れた一打でもあった。

 その後も勢いは続いた。17日のインディアンス戦では高めのボール球を捉えて13号3ラン、18日は持ち味の好球必打でセンター越えの14号を放ち、メジャー3度目の3戦連発を記録する。

 加速する二刀流のパフォーマンスに、すでにこの時期から本拠地で観戦するファンの“予言”が始まった。「MVP! MVP! 」。5月下旬からチームリーダーで主砲のトラウトが右ふくらはぎの故障で長期離脱となり、大谷へかかる期待と依存はますます高まった。その結果、これまではもっぱらマイク・トラウトへ向けられていたファンによる“MVPコール”が、大谷に継承された。

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