プロ野球

タイトルやアウォードとは無縁も実力は屈指! ポジション別「表彰されざる実力者たち」<SLUGGER>

藤原彬

2021.12.29

左からマーティン、木下拓、上沢。いずれも充実のシーズンを過ごした。写真:THE DIGEST写真部

 ベストナインやゴールデン・グラブ賞、各種タイトルホルダーが決まり、MVPに沢村賞、新人王(特別賞)も発表された。スポットライトを浴びた選手たちはまぎれもなく2021年の「顔」だが、表彰台には上がれなくても受賞者に匹敵する輝きを放った選手がいる。そんな実力者の活躍を、各ポジションから一人ずつピックアップして振り返ろう。

【先発】上沢直之(日本ハム)
12勝6敗 160.1回 防御率2.81

 いずれもリーグ3位の勝利、投球回、防御率を記録し、QSオリティ・スタート)率87.5%、被打率.208、被本塁打率0.45はいずれも2位の充実ぶり。田中将大(楽天)の日本復帰初登板で注目を集めた4月17日の一戦に投げ勝つと、5月以降で3先発以上した月は必ず防御率2.20以下の安定感を誇った。オフの契約更改では1億円プレーヤーの仲間入り。

【救援】平良海馬(西武)
24HP20S 60.0回 防御率0.90

 開幕から39試合連続無失点記録を樹立。序盤でセットアッパーからクローザーへ役割を変え、史上2人目の20ホールド&20セーブも記録した。東京五輪で本塁打を打たれて後半戦はやや失速したとはいえ、レギュラーシーズンでは被弾ゼロで防御率が前年から半減。変化球の投球割合増により救援ベストの被打率.176と被OPS.504、同最多の70奪三振と打者をねじ伏せた。
 
【捕手】木下拓哉(中日)
打率.270 11本塁打 43打点 OPS.748

 自慢の強肩でリーグ最多の盗塁刺29回を記録し、阻止率.426は2位。最優秀バッテリー賞選出時は、相方の柳裕也も「力を最大限に引き出してくれた」と賛辞を惜しまなかった。チームの日本人選手で唯一2ケタ本塁打(11本)に到達するなど打撃でも活躍し、ベストナイン捕手の中村悠平(ヤクルト)以上だった。

【一塁手】坂倉将吾(広島)
打率.315 12本塁打 68打点 OPS.857

 序盤は主にマスクをかぶりながら「隠れ首位打者」として持ち前の打棒を発揮し、一塁での出場が増えた後半戦はほぼ5番に固定された。昨季は対左投手に打率.216と弱かったが、今季は相手投手の右左を問わずに3割超えと課題を克服。ベストナイン投票では異なるポジションで票割れも、リーグ2位の打率とOPSは一塁で受賞のマルテ(阪神)を上回った。

【二塁手】浅村栄斗(楽天)
打率.269 18本塁打 67打点 OPS.817

 4年ぶりに20本塁打に届かずOPSも楽天移籍後のワーストで、昨季まで5年連続受賞のベストナインも逃がした。それでも、OPSは.800の大台を超え、本人としては物足りなくとも二塁手としは依然として水準以上。また、101四球はリーグ最多にして初めて三振(96)の数を上回り、後ろを打つ島内宏明の打点王獲得をアシストした。
 
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