プロ野球

期待すべきは打撃よりも守備!ヤクルトと契約のエスコバーは史上初の“守備型助っ人”

2019.11.07

ロイヤルズの正遊撃手として、15年のゴールドグラブ賞に輝いたエスコバーは史上初の“守備型助っ人”だと言える。(C)Getty Images

 10月30日、ヤクルトがアルシデス・エスコバーと契約を締結したと発表した。エスコバーはロイヤルズのリードオフを長く務め、2015年には正遊撃手としてワールドシリーズ制覇。メジャー11年で通算1367安打の実績がクローズアップされているが、むしろ注目すべきは、彼が史上初の"守備型助っ人"であるという点だ。

 助っ人外国人選手に期待されるのは、やはり打撃だ。多少守備が悪くとも、ホームランを量産できる助っ人が好まれる。だが、エスコバーはメジャー11年でOPSが.700を超えたのは一度しかなく、ホームランも7本がキャリアハイ。通算出塁率も.293と3割にも届かず、"攻撃型"の選手とはいいがたい。打者有利の神宮球場を本拠地にすれば多少成績は上がるだろうが、いきなりホームランを30本打つような爆発は期待できないだろう。
 
 むしろエスコバーの真価は、打撃よりも守備にある。俊足を生かした守備範囲の広さに定評があり、15年にはゴールドグラブ賞も獲得している。

 遊撃手のゴールドグラバーが来日するのは史上3人目だが、エスコバーと前の2人はタイプが違う。1人目は1963年と65年に同賞を受賞し、72年に広島へ入団したゾイロ・ベルサイエスだが、彼はツインズ時代の65年にリーグ最多の76長打を放ってア・リーグMVPを受賞した強打者だった。

 2000年に西武に入団した2人目のトニー・フェルナンデスも、打率3割を5度記録したコンタクトヒッター。86年~89年にかけて4年連続でゴールドグラブ賞を受賞したが、来日時はすでに38歳と高齢で、守備にはほとんど期待されていなかった。二人ともまずは打撃ありきの助っ人で、実際2人とも来日後はほとんどショートを守っていない。