プロ野球

広島・黒原が即戦力に? 巨人・翁田はリリーフ、ブライトは二軍の育成が肝に【ドラ1の目標課題/セ編】<SLUGGER>

西尾典文

2022.01.25

高卒投手でも完成度の高い小園(左上)は早期一軍も期待。故障の多い山下(左下)と粗削りなブライト(右下)はじっくり二軍からか。即戦力左腕の黒原(右上)がもしかしたら一軍定着は早いかも。写真:塚本凛平(THE DIGEST編集部)

 いよいよ来週に迫ったプロ野球のキャンプイン。中でも毎年大きな注目を集めるのがドラフト1位で入団したルーキーだ。しかし同じドラ1という括りでも、高卒と大卒では1年目から求められるハードルは大きく異なるし、同じカテゴリーの選手でも完成度は大きな差がある。昨年を例にとっても、栗林良吏(広島)、伊藤大海(日本ハム)、佐藤輝明(阪神)、早川隆久(楽天)などはいきなり主力となったが、大卒組でも苦しんだ選手は少なくなかった。

 そこで、今年の1位ルーキー12人それぞれの1年目の「目標」を、アマチュア時代のプレーぶりから考えてみたいと思う。彼らへの「期待」と「最低限」は一体どこなのか。今回はセ・リーグ6球団の1位選手を見ていこう。

<ヤクルト>
●山下輝(投手/法政大)
【二軍で10先発以上。後半戦に一軍先発デビュー】

 
 法政大ではリリーフでの登板も多かったが、4年時はほぼ先発だったこと、球団の期待の大きさから先発を前提として考えた。【二軍で10先発以上。後半戦に一軍先発デビュー】という少し低めの目標としたのは、故障歴を考慮したからだ。

 大学入学後にヒジを痛め、リーグ戦デビューは3年から。最終学年にようやく主戦となったが、ドラフト指名後にも左前腕の疲労骨折が判明している。急いで仕上げてまた故障を繰り返すよりも、キャンプでは慎重に調整するべきだろう。状態によってはリリーフとしてスタートすることも一つの方法である。日本人離れした体格とボールの角度、威力は申し分ないだけに、長い目で考えて2年目に本格化するくらいのイメージで考えたい。
 
<阪神>
●森木大智(投手/高知高)
【二軍で15先発、60イニング】


 今年の高卒新人投手の中では小園健太(DeNA)に次ぐ完成度を誇る本格派右腕だ。中学時代にマークした150キロというスピードばかり紹介されるがちだが、大きなフォームから変わらずにスライダー、フォークなどの変化球を操れる点も高校生離れしている。また、フィールディングなど投げる以外のプレーについても高レベルで、プロへの対応も早そうだ。

 そこで、ベンチマークとなるのは2年先輩のドラ1・西純矢だ。西は1年目の20年に二軍で11試合、45回を投げて4勝3敗、防御率4.00という成績だった。森木もそれをクリアすれば、まずは順調なスタートと言えるだろう。西は2年目の昨季に一軍デビューを果たして初勝利をマークしたが、順調にいけばシーズン後半の一軍デビューも期待できるだろう。

<巨人>
●翁田大勢(投手/関西国際大)
【二軍で先発なら90イニング、リリーフなら40試合登板】


 ドラフト指名時には大塚淳弘副代表と原辰徳監督からは先発で即戦力として期待というコメントもあったが、大学での投球を考えるとハードルが高い印象だ。4年間で満足に活躍したのは2年秋と4年秋だけで、全国大会や国際大会など大きな舞台での経験もない。4年秋にベストと言える成績を残したことはプラス材料だが、ヤクルトの山下輝と同様に2年目以降の戦力と考えておいた方が無難だろう。

 また、現時点ではリリーフの方が大成しそうな雰囲気を感じる。ドラフト1位ということでローテーション候補として考えたい首脳陣の気持ちも分からないではないが、本人の適性を考慮して、先発、リリーフ両方の可能性を探ることも検討してもらいたい。

 
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