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MLB

762本塁打は“4割打者級”の技術があってこそ。ボンズの殿堂入り落選に「打ちまくっていた時代を思い出せ」の声

THE DIGEST編集部

2022.01.27

全盛期はパワーが目に付いたボンズ。しかし、彼の打撃は卓越したセンスに裏打ちされたものだった。(C)Getty Images

全盛期はパワーが目に付いたボンズ。しかし、彼の打撃は卓越したセンスに裏打ちされたものだった。(C)Getty Images

 歴史的快挙を成し遂げたスラッガーも、ついに殿堂入りは果たせなかった。通算762本塁打を記録したバリー・ボンズである。

 現地時間1月25日、全米野球記者協会(BBWAA)によるMLB殿堂入り投票結果が発表され、通算541本塁打を放った“ビッグ・パピ”ことデビッド・オティーズが、有資格1年目にして得票率77.9%(75%以上で選出)で選出された。その一方で、資格最終年を迎えて注目を集めていたボンズ、ロジャー・クレメンス、カート・シリングは得票率を伸ばしきれずに落選。BBWAA経由での殿堂入りは見送られる形となった。

 ボンズが落選した理由は明白である。2007年に球界のステロイド使用の実態を報告した「ミッチェル・レポート」で告発されて以来、禁止薬物使用の疑いが常に付きまとっていたからだ。やはり“疑惑”がある選手に栄誉は与えられないというMLBとBBWAAの姿勢は最後まで崩れなかった。

 もっとも、ボンズが2001年に使用していたとされる薬物は、当時のMLBでは使用禁止にされていなかったという指摘もある。実際、取り締まりを強化された04年以降、彼からは一度も陽性反応が出たことはない。ゆえに彼の殿堂入りを推す声は年々強まり、得票率を高めていたが、最終年も合格ラインには達せなかった。

 最後まで“スキャンダル”の逆風を受け続ける結果となったボンズ。しかし、彼が現役時代に残した圧倒的な成績は、サンフランシスコ・ジャイアンツ時代の指揮官であるフェリペ・アルーが「ボンズはテッド・ウィリアムズの生まれ変わりだ。むしろ、彼よりもパワーを生かす技術を持っている」と指摘したように、何よりも図抜けた打撃センスがあってこそだとも言える。

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 だからこそ、BBWAA経由での殿堂入り落選が決まった今も、結果を惜しむ声は根強い。MLB通算1769勝を誇る名将で、ピッツバーグ・パイレーツ時代にボンズを指導したジム・リーランドは、米ラジオ番組『The Fan Wednesday』で、こう説いている。

「ボンズは殿堂入りに間違いなく値する選手だ。私は彼が薬物をやっていたかは知らないから非難するつもりもない。それに、あの打撃技術はやっていたからと言って身につくものではない。そして、ソーサとマグワイア、そしてボンズがとにかく打ちまくっていた時代を思い出してほしい。我々は多くの幸せを彼らから得ていたはずだ。野球界は活況を呈していたし、誰もが楽しみにしていた。後から好き勝手に言うのは自由だが、誰もが野球に関心を抱いていたのは間違いないんだ」

 今後は殿堂入りしたOB、球界幹部、ベテラン記者たちなど16人で構成される時代委員会が12月に実施する審査による殿堂入りを目指すボンズ。過去には、元デトロイト・タイガース投手のジャック・モリスがBBWAAでの資格喪失から4年後に選出された事例もあるが、はたして、どうなるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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