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大物も特別扱いなしのソフトバンクは二遊間競争が熾烈に。新庄監督の日ハムは清宮に期待【全12球団春季キャンプの注目点/パ・リーグ編】

藤原彬

2022.01.31

ロッテは藤原(左)、日本ハムは清宮(中央)の開花が待たれる。一方、浅村(右)はブレイク目前の若手には定位置を渡さないと意気込んでいる。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 2月1日からいよいよ春季キャンプでは、2022年シーズン開幕へ向け、それぞれのチームで激しいポジション争いが展開される。セ・リーグ6球団で最も注目すべきポイントをそれぞれリストアップした。

■オリックス:二塁での若手開花が連覇のカギ

 昨年は若手のブレイクで25年ぶりのリーグ優勝を手繰り寄せたが、開花が待たれる有望株はまだ残っている。とくに二塁は難病の潰瘍性大腸炎を患う安達了一が昨季の最多出場で、若手の定位置奪取が待たれるポジションだ。

 20歳の太田椋は昨季、パワーの潜在能力こそ垣間見せたが一軍、二軍ともに打率1割台で、レギュラー獲りのためには確実性の向上が必須。同じく高卒4年目を迎える宜保翔は守備や走塁に定評がある一方、打撃面では太田以上に課題を抱えており、キャンプで成長の跡を見せたい。

 もちろん、候補となるのはこの2人だけではない。新外国人のバレラはバッテリーを除いた7ポジションを守れる三振の少ない巧打者。フルスイングが持ち味のドラフト2位・野口智哉も一軍スタートで、多くの選手が定位置を狙う構図となりそうだ。リーグ連覇と日本一を狙うには、新たな戦力の第2波が必要不可欠になる。
 
■ロッテ:藤原、山口の台頭を"最大の補強"に

 オフは大規模な補強はなし。2年連続2位からリーグ優勝を目指すには、若手の成長が不可欠だ。とくに打線は昨季リーグ最多の584得点を挙げたものの、高齢のレアードや右ヒザに故障を抱えるマーティン、2人の助っ人への依存度が大きく、次代の主砲候補の開花が待たれる。

 とりわけ藤原恭大と山口航輝にかかる期待が大きそうだ。今季から背番号が1に変わる藤原は、昨年の7、8月に計24試合で打率.348、5本塁打と大爆発し、月間MVPを受賞するなどポテンシャルは折り紙付きだ。1年通して実績を残すための対応力を身に着け、本命不在のセンターの定位置を手にしたい。

 パワーが自慢の山口は昨季、一軍1年目で9本塁打を放つも打率は.207。確実性向上がレギュラー獲得の条件となる。助っ人2人に加えて藤原と山口が打線の軸となれば、2005年以来のリーグ優勝の確率はさらに高まるはずだ。

■楽天:二塁は浅村一択に思えるが……

 絶対的な存在のいない捕手や、西川遥輝の加入でより熾烈さを増した外野争いも注目だが、ここではあえて「二塁争い」を押したい。それこそ主砲の浅村栄斗がいるのに「なぜ?」と思われるだろうが、実は若手の黒川史陽が昨季ファームで48試合の出場ながら打率.319、OPS.806と活躍。しかもチーム最多の19長打を放ちながら三振率が9.9%と、20歳の年齢にそぐわぬ完成度を示しているからだ。

 一方で浅村は、昨季は打率.269、18本塁打と精彩を欠いた。守備もそれほど高水準ではなく、一塁やDHへ移るのも選択肢に入ってくる。もちろん、浅村本人は「誰が出てこようと自分が(二塁で)出続ける」と、慣れ親しんだ定位置をあくまで渡さぬ構えだ。

 一塁、DHの候補には鈴木大地や新助っ人のギッテンス、マルモレホスらもいる。二塁でハイレベルな争いが繰り広げられればその影響は他のポジションにも波及し、ひいてはチーム全体の戦力層向上につながる。その意味でも、スターと期待の若手がしのぎを削る二塁に注目したい。
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「BOSS組」の清宮にチャンスは訪れるか