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プロ野球

新庄”ビッグボス”の「減量指令」に異議あり。太っていても活躍できるのがプロ野球の魅力<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.02.06

モデル体型の新庄から減量指令が出るのは分かるが、野球というスポーツでは、本質的にはスタイルはあまり関係ないはずだ。写真:産経新聞社

モデル体型の新庄から減量指令が出るのは分かるが、野球というスポーツでは、本質的にはスタイルはあまり関係ないはずだ。写真:産経新聞社

「ちょっとデブじゃね? ちょっと痩せない?」

 日本ハムの新庄剛志新監督は、昨年11月初旬の就任早々、こう言って清宮幸太郎に減量指令を出した。

 現役時代からモデルのようにスラリとしていた新庄監督は、50歳になった今もそのままの体型を維持。それだけに、「太っていることは人間的にだらしないイメージがある。スタイルを保っている人は、自分に負けないしっかりした気持ちがあるんじゃないかなと思っている」とのコメントにも説得力がある。一般社会の「常識」とも合致していて、なるほどと思ったファンも多かったことだろう。

 だが、プロ野球で活躍する選手は全員がギリシャ彫刻のような肉体の持ち主ばかりというわけではない。いや、端的に言ってしまえば「デブ」でも活躍できるのが野球というスポーツだ。

 そもそも、史上最高の選手であるベーブ・ルースからして典型的なぽっちゃり型だった。試合中にホットドッグを20個平らげたこともあるというルースは、大きなお腹を揺らしながら豪快なホームランをかっ飛ばし、その姿にファンは喝采を送った。

 日本でもそうだ。三冠王3度、プロ野球史上屈指の強打者である落合博満も、どこにでもいるようなおじさん体型だった。3度目の三冠王に輝いた直後の87年には、雑誌の企画でふんどし一丁の写真が掲載されたことがあるが、本物の力士ほどではないにしてもお腹はしっかり出ていた。

 1979年の日本シリーズで「江夏の21球」の名場面を演出した史上屈指の名クローザー江夏豊も然り。現役でも、中村剛也や山川穂高(いずれも西武)が恰幅のいい体型からホームランを連発して人気を集めている。
 
 MLBには「動けるデブ」もいる。ガーディアンズのホゼ・ラミレスがその代表例だ。175cm、86kg(おそらく体重はもっとあるだろう)で見た目はまさに”豆タンク”だが、体型に似合わず動きは俊敏そのもの。現在は三塁だが、以前は遊撃や二塁もこなしていた。18年は39本塁打&34盗塁、昨季も36本塁打&27盗塁を記録している。彼のプレーを見ていて、「だらしない」と思う者はいないだろう。

 考えてみれば、昨年のセ・リーグMVPに輝いた村上宗隆(ヤクルト)も、少なくとも体型に関して言えば同期の清宮とそれほど変わらない。今、村上の体型をどうこう言う人がいるだろうか。清宮が体型をどうこう言われるのも、要は結果が出ていないからでしかない。裏を返せば、プロ野球の世界では、結果を出してさえいれば体型など問題にされないし、そうあるべきなのだ。

 最後に、かつてフィリーズなどで一塁手として活躍して通算打率3割、オールスターにも3度出場したジョン・クラックの名言を紹介しよう。

「俺はアスリートじゃない。野球選手なんだ」

 クラックがお世辞にもスマートとは言えない、中年体型の選手だったことはもちろん言うまでもない。

構成●SLUGGER編集部
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