昨年からMLBを騒がせていたスキャンダルに、一つのピリオドが打たれた。
現地2月8日、ロサンゼルス警察当局は、女性への性的暴行疑惑で捜査されていた2020年のサイ・ヤング賞投手トレバー・バウアー(ドジャース)を刑事訴追しない方針を明らかにした。
バウアーに疑惑が持ち上がったのは昨年6月末。5月にSNSで知り合った女性と性行為に及んだ際(これ自体は同意の上だった)にバウアーがエスカレートし、女性の髪を首に巻き付けて失神させたり、顔や頭を殴って頭蓋骨が陥没するほどの重傷を負わせたとして、訴えられた。女性は傷だらけの自分の顔写真も証拠として公開していた。
事件を受けて、バウアーは7月2日に休職処分を受けた。その後も警察とMLB機構の調査がそれぞれ続く間、処分は延長され続け、結局シーズン終了まで戦列に復帰することはなかった。バウアーは19年に来日してDeNAの二軍施設を訪問したり、ダルビッシュ有(パドレス)と互いを認め合う良きライバルとしても知られていただけに、日本でもスキャンダルへの反響は大きかった。
ロサンゼルス地検は「証拠を徹底的に検討した結果、容疑を証明することができなかった」としており、少なくとも法的には「バウアーに性的暴行の事実はなかった」ことになる。
だが、この決定でただちにバウアーがすぐメジャーに復帰できるかというと、そう簡単は話ではなさそうだ。
休職処分はMLB機構の判断によるもので、こちらの調査はいまだ継続中。司法当局に起訴されなくとも、MLB機構独自のガイドラインに違反したと判断された場合は、何らかの処分を受ける可能性は十分ある。
実際、同じドジャースの投手であるフリオ・ウリアスは、19年に恋人に暴力を振るったとして20試合の出場停止。100マイルの剛球が武器のリリーバー、アロルディス・チャップマン(ヤンキース)も16年に同様の事件によって30試合の出場停止処分を受けているが、2人とも刑事訴追はされていない。MLB機構はまだバウアーから直接聞き取り調査を行っておらず、最終的にはその後で判断を下すとみられる。
不起訴処分を受け、バウアーは8日に自身のYouTubeチャンネルで『The truth.(真実)』と題した動画を公開。「僕は決して女性の顔を殴ったりしていない。彼女に暴行を加えてはいない」と改めて潔白を主張している。
また、仮に出場停止処分が下されなかったとしても、ドジャースは難しい決断に直面することになりそうだ。
ドジャースのチームメイトの大半は、バウアーの復帰をあまり歓迎していないと言われている。昨年7月の段階で、すでにそのような意見が大勢を占めていると報道されていたのに加え、地元紙の『ロサンゼルス・タイムズ』は8日、「ドジャースはバウアーを復帰させない姿勢を明確にするべきだ」と銘打ったコラムを掲載している。記事では昨年9月にスターリン・カストロ(ナショナルズ)が家庭内暴力によって出場停止処分を科された後、チームから解雇された前例を引き合いに出し、ドジャースもそれに倣うべきだというわけだ。
ドジャースとバウアーの契約は残り2年、総額6400万ドル(約約74億円)分が残っている。費用対効果を考えれば1試合でも多く投げてもらいたいところだが、他の選手のことも配慮しなければならない。
法的には潔白とされたバウアーだが、この先にもまだまだ茨の道が待っていることに変わりはない。彼が再びメジャーのマウンドに戻ってくるのは一体いつになるのだろうか。
構成●SLUGGER編集部
現地2月8日、ロサンゼルス警察当局は、女性への性的暴行疑惑で捜査されていた2020年のサイ・ヤング賞投手トレバー・バウアー(ドジャース)を刑事訴追しない方針を明らかにした。
バウアーに疑惑が持ち上がったのは昨年6月末。5月にSNSで知り合った女性と性行為に及んだ際(これ自体は同意の上だった)にバウアーがエスカレートし、女性の髪を首に巻き付けて失神させたり、顔や頭を殴って頭蓋骨が陥没するほどの重傷を負わせたとして、訴えられた。女性は傷だらけの自分の顔写真も証拠として公開していた。
事件を受けて、バウアーは7月2日に休職処分を受けた。その後も警察とMLB機構の調査がそれぞれ続く間、処分は延長され続け、結局シーズン終了まで戦列に復帰することはなかった。バウアーは19年に来日してDeNAの二軍施設を訪問したり、ダルビッシュ有(パドレス)と互いを認め合う良きライバルとしても知られていただけに、日本でもスキャンダルへの反響は大きかった。
ロサンゼルス地検は「証拠を徹底的に検討した結果、容疑を証明することができなかった」としており、少なくとも法的には「バウアーに性的暴行の事実はなかった」ことになる。
だが、この決定でただちにバウアーがすぐメジャーに復帰できるかというと、そう簡単は話ではなさそうだ。
休職処分はMLB機構の判断によるもので、こちらの調査はいまだ継続中。司法当局に起訴されなくとも、MLB機構独自のガイドラインに違反したと判断された場合は、何らかの処分を受ける可能性は十分ある。
実際、同じドジャースの投手であるフリオ・ウリアスは、19年に恋人に暴力を振るったとして20試合の出場停止。100マイルの剛球が武器のリリーバー、アロルディス・チャップマン(ヤンキース)も16年に同様の事件によって30試合の出場停止処分を受けているが、2人とも刑事訴追はされていない。MLB機構はまだバウアーから直接聞き取り調査を行っておらず、最終的にはその後で判断を下すとみられる。
不起訴処分を受け、バウアーは8日に自身のYouTubeチャンネルで『The truth.(真実)』と題した動画を公開。「僕は決して女性の顔を殴ったりしていない。彼女に暴行を加えてはいない」と改めて潔白を主張している。
また、仮に出場停止処分が下されなかったとしても、ドジャースは難しい決断に直面することになりそうだ。
ドジャースのチームメイトの大半は、バウアーの復帰をあまり歓迎していないと言われている。昨年7月の段階で、すでにそのような意見が大勢を占めていると報道されていたのに加え、地元紙の『ロサンゼルス・タイムズ』は8日、「ドジャースはバウアーを復帰させない姿勢を明確にするべきだ」と銘打ったコラムを掲載している。記事では昨年9月にスターリン・カストロ(ナショナルズ)が家庭内暴力によって出場停止処分を科された後、チームから解雇された前例を引き合いに出し、ドジャースもそれに倣うべきだというわけだ。
ドジャースとバウアーの契約は残り2年、総額6400万ドル(約約74億円)分が残っている。費用対効果を考えれば1試合でも多く投げてもらいたいところだが、他の選手のことも配慮しなければならない。
法的には潔白とされたバウアーだが、この先にもまだまだ茨の道が待っていることに変わりはない。彼が再びメジャーのマウンドに戻ってくるのは一体いつになるのだろうか。
構成●SLUGGER編集部