長年アマチュア野球を見ていると、「これまで見た選手のなかで誰が一番凄かったですか?」という質問をよく聞かれる。投手や野手、カテゴリーによっても異なるため絞るのはなかなか困難だ。
しかし、ここではテーマとカテゴリーに分けてランキング形式で5人ずつ紹介していきたいと思う。対象は現在の記録をとるスタイルでアマチュア野球を見始めた2001年秋以降の選手とした。今回は「本当にストレートが速かった投手」の高校生編だ。
5位:泉正義(宇都宮学園→02年ドラフト4位ヤクルト)
中学時代から140キロ近いスピードで評判となり、1年夏には早くもリリーフとして甲子園で登板した泉。故障などから一時は野球部を離れていた時期もあったが、3年時には復帰してエースとして活躍した。
その投球を実際に見たのは2002年夏の栃木大会、対佐野日大戦だった。 後日の報道によると、この日は自己最速の150キロには及ばなかったというが、軽く投げているようでも打者の手元で浮き上がるようなボールの勢いは素晴らしいものがあった。
また、最近では珍しくない150キロという数字も、当時では規格外のもの。プロでは故障に苦しんで登板できず、わずか3年間での現役生活に終わったが、高校3年夏に見せていたストレートは今でも色褪せてはいない。
泉と同様に中学時代から大器と評判だったのが甲斐だ(ソフトバンクの正捕手とは別人)。初めて投球を見たのは3年春の長野県大会、対地球環境戦。メリハリのあるフォームから投げ込むストレートは最速148キロをマークし、評判に違わぬ豪腕ぶりを見せつけていた。
甲斐の凄さは最速だけでなくアベレージの高さだ。 続く北信越大会の対金沢戦でも初回から9回までコンスタントに145キロ以上を記録し、最後まで球威が落ちなかったのだ。ちなみに、この試合では最速149キロをマークしている。
いかにも投手らしい体格でフォームに目立った欠点がなく、球筋が安定していたことも高く評価した理由である。プロではわずか4年間の在籍で一軍登板は一度もなかったことが、今でも不思議でならない。
3位:風間球打(ノースアジア大明桜→21年ドラフト1位ソフトバンク)
近年では150キロ以上をマークする投手は珍しくなくなった。しかし、昨年の風間が見せたインパクトは指折りだった。最初に見た1年春の東北大会では最速136キロのまとまりのある投手という印象だったが、2年夏には豪腕に変貌し、最終学年ではさらにストレートに磨きがかかっていた。
とくに素晴らしいのが、ボールの角度。長いリーチを真上から振り下ろし、183センチという身長以上に上からボールが来るように見える。3年夏の甲子園は天候不順の影響もあって難しい投球となったが、それでも内角を突くボールなどは迫力十分だった。ソフトバンクの充実した施設でしっかり鍛えれば、近いうちに160キロ超えも期待できるだろう。
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