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プロ野球

同世代の大谷翔平は遠い存在に。どん底を味わった北條史也が、いま牙を研ぐ理由「無理やったら終わり」

チャリコ遠藤

2022.02.24

強い覚悟を持ってプロ10年目を迎えた北條。苦しむ遊撃手はいま何を感じているのか。写真:産経新聞社

強い覚悟を持ってプロ10年目を迎えた北條。苦しむ遊撃手はいま何を感じているのか。写真:産経新聞社

 阪神タイガースの藤浪晋太郎には、密かな夢がある。

「1回は北條と一緒に甲子園のお立ち台に上がってみたいですね。高校野球のファンの方にも喜んでもらえると思うんですよね」

 しかし、そんな話を聞いたのも、もう数年前になってしまった。

 約10年前の2012年10月25日。あの日を境に、藤浪と北條史也は「タイガースの希望」となった。聖地・甲子園で、全国制覇を懸け、鎬を削った大阪桐蔭のエースと光星学院の主砲は、同年のドラフト1位、2位指名でタテジマに袖を通す運命に導かれた。

 エース・藤浪が甲子園のマウンドで仁王立ちし、中軸の北條が快音を響かせる――。ファンの幻想は膨らみ、そう遠くない未来に描かれる“絶景”になると疑わなかった。しかし、ともに27歳になった両雄がお立ち台で並び立つことは、10年が経過しようとしている今でも実現に至っていない。
 
 今春、再起をかけて沖縄キャンプで奮闘を続ける背番号19。その背後に背番号26はいない。北條は、寒風吹きすさぶ高知県安芸市で黙々と汗を流している。昨年10月に受けた左肩手術の影響で春季キャンプは2軍スタート。現在もリハビリ過程にあり、開幕に間に合わせることは極めて厳しい。焦りをぐっと胸に押し込めながら過ごす日々だ。

 昨年12月の契約更改時には、かつて有望株として期待された1人のプロ野球選手の無情と言える時の流れと、厳しい現状への危機感がにじみ出た。

「試合に出ないと僕も来年10年目なんで、この世界にいられないというのはある。来年しっかり巻き返したいと思います」

 プロの扉を叩いた瞬間に夢見た10年後と、現実の10年は全く違った。「若い時は自分も成長して、(プロ)4年目終わりで次は大卒の同級生が入ってくるので大卒の人より給料を多くもらっておきたいという思いもあったり。でも、ここまできたら1年でも長くという気持ちで……。今はやっています」。

 まさに「しがみつく」という言葉が思い浮かぶ背水の決意に聞こえた。
 
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